2019年5月に滋賀県大津市の交差点で発生した、保育園児ら16名が死傷するという痛ましい交通事故について、大津地方検察庁は2019年6月14日、直進車を運転していた62歳の女性を不起訴処分としました。この女性は、自動車運転処罰法違反の**「過失致死傷罪」の疑いで書類送検されていましたが、検察は「刑事責任を問える過失は認めがたい」と判断したのです。この決定は、多くの人々にとって非常に重く、関心の高いものでしょう。直進車の運転手が罪に問われなかった理由について、詳しく掘り下げてまいります。
地検の説明によれば、この女性が運転していた軽乗用車は、法定速度よりも低い速度で走行していました。また、前方不注視、つまり前方をきちんと見ていないというような過失も認められなかったとのことです。事故が発生した瞬間は、女性は青信号に従って交差点をまっすぐに進もうとしていた状況でした。事故の原因は、突然対向車線から右折してきた乗用車に衝突されたことにあるとされています。検察はこれらの状況を総合的に検討した結果、女性に対する嫌疑は「嫌疑不十分」であると判断を下したと考えられます。ここでいう「嫌疑不十分」とは、犯罪の疑いはあるものの、有罪を立証するに足る証拠が不十分である場合に下される処分で、今回は「刑事責任を問える過失がなかった」という点が決め手となりました。
SNSで飛び交う議論:検察の判断に対する賛否両論
この不起訴処分が報じられると、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では、さまざまな意見や感情が飛び交いました。多くのユーザーは、直進車の運転手が「青信号に従い、法定速度以下で走行していた」という事実に基づき、「この判断は当然である」「もらい事故で、運転手に責任を負わせるのは酷だ」といった、検察の決定を支持する声が見受けられました。一方で、「被害者がいるのに、誰の責任にもならないのはおかしい」「衝突したことで結果的に被害が拡大したのではないか」といった、運転手のわずかな「予見可能性」、すなわち事故を予測する可能性を指摘する厳しい意見も散見されました。このような重大事故においては、誰もが納得できる責任の所在を求める声が高くなるのは自然なことでしょう。
私は、今回の検察の判断は、「過失犯」というものが成立するための、「注意義務違反」の有無を極めて厳密に判断した結果だと受け止めております。過失致死傷罪が成立するためには、「結果予見義務」と「結果回避義務」という二つの「注意義務」に違反している必要があります。青信号に従い、法定速度を守って直進する運転手が、まさか対向車が突然無理な右折をして衝突してくることまで予見し、それを回避する義務まで負うというのは、法律上かなりハードルが高いと言えるでしょう。直進車を運転していた女性は、交通ルールを遵守していたと認められるため、「刑事責任」という観点からは免れたと考察できます。
しかし、感情的な側面から見れば、園児という未来ある命が失われ、多くの被害者を出したこの事故で、結果的に「誰も罪に問われない」という状況は、非常にやるせない気持ちになるものです。この事件を通じて、「安全運転の徹底」はもちろんのこと、交差点における危険の認識、そして交通法規の重要性**を改めて深く考える必要があるのではないでしょうか。被害に遭われた方々、そしてそのご家族の心中を察すると、この事故を単なる「法的な結論」で終わらせてはいけないという強い思いが湧いてくるのです。
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