2019年の中元商戦が、東北各地の百貨店で本格的にスタートしています。特に注目を集めているのは、地域の企業や文化と深く連携し、「単なるモノの販売」に留まらない独自の価値を創出する百貨店の動きです。全国的に百貨店の閉店数が9年ぶりに2桁に達する見込みという厳しい経営環境のなかで、中元商戦は地域との接点を改めて見つめ直し、地域プロデューサーとしての役割を果たす大切な機会となっています。
仙台市の老舗百貨店である藤崎では、2019年6月14日に中元ギフトセンターを開設いたしました。今年は創業200周年という記念すべき年であり、その節目を飾る記念商品9種類をラインナップしています。キックオフ朝礼では、勢田誠一本店長が「地域とのつながりがあってこその200年。改めてその良さをお客さまにお伝えしたい」と強い意気込みを表明されました。この言葉から、地域密着への強い決意が感じられます。
藤崎が今回特に力を入れているのが、「仙台ご縁」シリーズで初めて実現したという、宮城県内の3社が連携した新商品の開発です。和菓子の老舗「九重本舗玉澤」(仙台市)、ゼラチンを製造する「ゼライス」(多賀城市)、そして紅茶メーカーの「ガネッシュ」(仙台市)の3社に藤崎が働きかけ、協力体制を構築しました。この異業種コラボレーションによって誕生したのは、紅茶ゼリーとババロアのセットです。仙台市は冷たいお菓子のメーカーが少ないという背景があり、地元商品への根強い人気に応えつつ、新しいニーズを開拓するために藤崎が商品企画を持ちかけました。
開発された冷菓は、ゼラチン(動物の皮膚や骨などに含まれるコラーゲンを熱変性させたタンパク質で、冷やすと固まる性質があります)によって強い弾力があるのが特徴です。また、甘さを控えめにし、さっぱりとした味わいに仕上げられています。3社の特性を活かし、製造工程や味の監修に専門的な知見が結集され、商品化に至りました。開発に携わった販売促進部地域物産振興担当の鈴木健夫課長は「共同開発がきっかけとなり、さらなる新商品企画の動きも生まれてきています。縁を取り持つことも、百貨店の重要な役割だと感じています」と語っており、百貨店が単なる小売店ではなく、地域経済のハブ(結節点)となっていることがよく分かります。このニュースはSNSでも「地元企業同士のコラボは応援したい」「藤崎さんが地域に貢献してるのが伝わる」といった肯定的な反響を呼んでおり、地域活性化への期待が高まっている様子がうかがえます。
🎁 秋田県産品を「コト」提案で魅力的に!西武秋田店の工夫
一方、秋田市にある西武秋田店では、2019年6月13日に中元ギフトセンターが開設されました。店頭に並ぶ約1,000点の中元商品のうち、約300点が秋田県産の特産品となっており、地元産品の構成比は年々高まる傾向にあるとのことです。昨年の中元売上高における県産品の割合は25パーセントに達しており、地元への愛着の深さがうかがえるでしょう。
西武秋田店が今年度の商戦で注力しているのは、単に商品を紹介するだけでなく、その商品を活用した「コト」、つまり体験や使い方の提案です。具体的には、地元料理研究家の協力を得て、秋田名物の稲庭うどんをアレンジしたレシピを紹介しています。例えば、「ポルミート」のサラミを使用したカルボナーラ風稲庭うどんや、「二代目福治郎」の納豆を用いた冷掛け納豆稲庭うどんなど、斬新なレシピカードが店頭に置かれ、買い物客の目を惹きつけています。「商品のみならず『コト』も提案する」(山本茂店長)という戦略は、商品の新しい魅力を引き出し、消費者にとってより具体的な利用シーンをイメージさせることで、購買意欲を喚起するでしょう。
現代の消費者は、ただ商品を購入するだけでなく、それを使うことで得られる体験や感動、そして物語を求めているものです。このような時代の流れを捉え、地域産品に新たな価値を付与する藤崎の「企業間連携プロデュース」や西武秋田店の「レシピ提案」といった取り組みは、百貨店が厳しい時代を乗り越え、地域になくてはならない存在として進化していくための鍵となるでしょう。モノを売るだけでなく、地域資源を発掘・結びつけ、そして新たな「コト」の消費を生み出す百貨店の挑戦から目が離せません。
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