映画の物語を味わう新感覚スイーツ!「cineca」土谷みおさんが贈る、お菓子とアートの融合とは?

お菓子は単に空腹を満たすものではなく、それ自体が一つの物語を紡ぐ表現媒体になり得るのかもしれません。2019年09月18日現在、注目を集めているのが、お菓子ブランド「cineca(チネカ)」を主宰する土谷みおさんです。彼女が生み出すスイーツは、映画から得たインスピレーションを形にした、まさに「食べるアート」と呼ぶにふさわしい独創性に満ちています。

例えば、本の形をした箱から現れる「紙くず」のような物体。その正体は、フランスの伝統的な砂糖菓子である「ヌガー」です。一般的には四角い形で親しまれるヌガーを、あえてくしゃくしゃの紙に見立てるという大胆な発想は、見る者の好奇心を刺激します。こうした「視覚と食感のギャップ」こそが、彼女の作品が持つ最大の魅力であり、SNSでも「可愛すぎて食べられない」と大きな反響を呼んでいるのです。

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映画の記憶を形に変える、独自のクリエイティブ術

土谷さんの創作の源泉は、無類の映画好きである彼女が書き溜めた膨大なメモにあります。かつては1日に4、5本の作品を鑑賞していたという彼女は、独自の視点で映画を分類しています。登場する動物や特定のシーン、さらには「コンビニ」といった断片的な要素をメモし、そこから得たイン釈を丁寧にお菓子へと昇華させていくプロセスは、まるで映画監督がコンテを練る作業のようです。

代表作の一つである小石のようなラムネ菓子「a piece of」は、映画『潜水服は蝶の夢を見る』から着想を得ています。岩が削れて砂になる過程を、粉糖と水分だけで作るラムネの工程に重ね合わせるというこだわりには、脱帽せざるを得ません。単に似せるのではなく、素材の成り立ちという本質的な部分で映画のテーマとシンクロさせる手法からは、彼女の深い知性が感じられます。

かつてグラフィックデザイナーとして活躍していた土谷さんは、パッケージデザインから納品までをすべて一人でこなします。理想を追求するあまり、商品完成までに1年を費やすこともあるそうです。デザインのプロだったからこそ、お菓子そのものだけでなく、それを包む外装や、手に取った時の体験すべてを一つの作品として完結させる高い美意識が宿っています。

挫折を乗り越えて迎える「cineca」の第2幕

順風満帆に見えた活動の裏で、土谷さんは2017年後半から2018年にかけて、過労による体調不良で活動休止を余儀なくされました。しかし、この休息期間を「リセット」と捉えた彼女は、2019年02月に待望の新作を発表しました。海岸のプラスチック片を模したチョコレート「All or Nothing」は、日常の何気ない心の機微を表現し、ファンの心を再び掴んでいます。

私は、彼女の活動は「お菓子の価値を再定義する挑戦」だと感じます。コンビニのお菓子が心の支えだったという彼女の原体験が、今の繊細な表現に繋がっているのは非常に感慨深いものです。現在は雑誌連載や異業種とのコラボなど、その活動はさらに多角化しています。2020年02月に予定されている木工作家との新作プロジェクトでは、どんな新しい物語を見せてくれるのでしょうか。

効率や大量生産が重視される現代において、一人の表現者が時間をかけて物語を練り上げる「cineca」の世界観は、私たちに心のゆとりを与えてくれます。お菓子を通じて映画の余韻に浸る。そんな贅沢な体験が、これからも多くの人々を魅了し続けることは間違いありません。次なる新作の登場を、期待を込めて待ちたいと思います。

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