世界で社債発行が空前のラッシュ!超低金利を背景に9月は過去最高ペースを更新中

世界中の企業がいま、かつてない勢いで「社債」の発行に乗り出しています。社債とは、企業が投資家から直接資金を借りるために発行する一種の借用証書のことです。2019年09月19日現在の調査によると、9月の1日あたりの発行額は112億ドル(約1兆2100億円)に達しており、これは統計が残る2000年以降で最大のペースとなっています。

この異例とも言える事態の裏側には、世界的な金利低下の波が押し寄せている事実が見逃せません。欧米の中央銀行が金融緩和へと舵を切ったことで、企業にとっては非常に安いコストで資金を調達できる絶好のチャンスが到来しています。SNS上でも「これだけ金利が低いなら、キャッシュを積み増しておくのが正解」「今のうちに借り換えない手はない」といった、企業の戦略を冷静に分析する声が目立っています。

地域別の動きを詳しく見てみると、米国が56億ドル、日本が10億ドルと、それぞれ過去最大規模の起債を記録しました。特に日本においては、2019年01月から09月までの累計額が10.5兆円にまで膨らんでいます。このままの勢いが続けば、銀行の貸し渋りが深刻だった1998年以来、21年ぶりに年間最高額を塗り替える可能性が極めて濃厚と言えるでしょう。

具体的な顔ぶれも華やかです。米アップルは70億ドルを調達し、配当や自社株買いの原資に充てる方針を示しました。また、ウォルト・ディズニーも同額を調達し、より利息の低い債券へと入れ替える「借り換え」を断行しています。さらに、投資の神様として知られるウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが4300億円もの円建て債を発行したことも、市場に大きな衝撃を与えました。

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膨らむ債務と忍び寄る景気後退の影

注目すべきは、信用力が比較的低い「投機的等級」に分類される企業の動きです。例えば、配車大手のウーバー・テクノロジーズは当初の予定を大幅に上回る12億ドルの発行を決定しました。投資家側も、マイナス金利が広がる国債に代わり、少しでも利回りが期待できる社債へ資金を投じざるを得ないという切実な事情を抱えているのが現状です。

しかし、こうした債務の膨張は決して楽観視できるものではありません。18年度の世界の上場企業の有利子負債は約20兆ドルと、10年前と比較して約8割も増加しました。金利が下がっているにもかかわらず、支払わなければならない利息の総額が増えているのは、まさに借り入れの総量が膨大になりすぎた証拠と言えるでしょう。

企業経営を脅かす兆候もすでに現れています。米国の格付け会社ムーディーズが2019年09月09日に米フォード・モーターの格付けを引き下げたことは、市場に冷や水を浴びせました。さらに、同月17日時点で年初からの「格下げ」件数が「格上げ」を大幅に上回る580件に達している点は、企業の基礎的な体力が弱まりつつあることを示唆しています。

最後に、筆者の個人的な見解を述べさせていただきます。今の空前の社債ブームは、将来への投資というよりも、目の前のキャッシュを安く確保したいという防衛的な性格が強いと感じます。もし米中摩擦などの地政学的リスクが表面化し、世界景気が急速に冷え込むような事態になれば、この巨額の債務が「時限爆弾」となりかねないため、非常に危ういバランスの上に立っていると言えるはずです。

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