🎁**「中元」から「夏の贈り物」へ!**🎁**SNS映えと”ご褒美ギフト”が熱い百貨店・EC商戦の最前線**

2019年6月15日、九州地方の百貨店で中元商戦が本格的にスタートいたしました。この夏の贈り物の市場は、従来の「贈答文化」から大きく変化しており、各社は知恵を絞って新たな需要を掘り起こそうと尽力しています。かつては取引先などへの儀礼的な贈り物として、ビールやハムといった日持ちのする商品が主流でしたが、こうした社用での需要は全国的に減少傾向にあるのです。実際、矢野経済研究所は2019年の中元市場の規模を、前年比3%減の7,350億円と予測しており、市場全体の縮小は避けられない見通しでしょう。

しかしながら、こうした市場の逆風のなかでも、百貨店の売上における中元の存在感は依然として非常に大きいと言えます。例えば、博多大丸の担当者によると、中元商戦の期間だけで「毎夏、数十億円を超え」、好調とされるハイブランド部門の売上を大きく上回るほどの規模があるのです。各社がこの大きな市場を維持し、さらには拡大するために注目しているのが、「自分用」としての購入、すなわち自家消費の需要、そして家族や親しい友人などへのこだわりギフトの需要です。

この新しい潮流を象徴しているのが、大丸福岡天神店で見られた光景です。商戦開始日の6月5日には、予約のために約30人が列を作り、店舗入り口に展示された「こだわり商品」に人気が集中しました。販売価格が5,000円から1万円と割高でありながら、冷製おでんやバジルソースのうなぎといった珍しい、あるいは高級食材を使った商品を選ぶ人が目立っています。これは、ただ贈るだけでなく、産地や味覚にこだわる特別な一品を贈りたい、または自分へのご褒美として購入したいという意識の表れでしょう。実際、送り先を自宅とする購入者、つまり自家消費の割合は全体の約2割にまで増加しているのです。

このような消費者の意識の変化を受けて、岩田屋三越やイオン九州といった各社も、贈答市場の現状に対応する戦略を打ち出しています。岩田屋三越は客単価を昨年の1万9,200円から300円程度上昇させ、販売数量が減っても売上を維持することを目指しています。また、カタログ表記を「お中元」から「夏の贈り物」に変更し、自宅用や家族向けの購入を促すなど、名称からしてカジュアルなギフト需要を取り込もうとしている点が注目されます。イオン九州も同様に「夏ギフト」の表記を採用し、従来の儀礼的な「中元」のイメージからの脱却を図っているのです。

地域に根差した「こだわり」を演出する動きも活発です。イオン九州では天草産の車エビ、鶴屋百貨店(熊本市)では熊本県産トマトを使用したゼリーなど、その土地ならではの食材を使った商品を展開しています。また、若い世代の中元文化への参入を促すための施策も進められています。例えば、博多阪急が販売する透明なカップのアイスケーキは、フルーツの断面が映えるパッケージを採用しており、「SNS映え」を意識したデザインです。これは、若者が商品を購入し、それをソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で発信することで、話題性を高め、新たな購買層にリーチしようという戦略でしょう。

さらに、岩田屋三越では、20代から30代の若手社員が発掘したギフトを提案し、新しい需要の掘り起こしに挑戦しています。熊本県産馬肉の薫製セットや、福岡県能古島産のかんきつのはちみつ漬けなど、従来の定番商品にはないユニークで魅力的なラインナップを展開している点は、新しい顧客層の開拓に向けた意欲の表れと言えるでしょう。これは、**中元を単なる伝統行事としてではなく、旬の美味しいものや珍しいものを贈る「カジュアルなギフト」**として捉え直す好機だと私は考えます。

物流コストの上昇への対応も、中元商戦における重要なテーマとなっています。宅配大手の配送料引き上げを背景に、輸送費が上昇しているため、送料をどのように扱うかが競争力に直結しているのです。井筒屋では、昨年、輸送費の高騰から一般商品に300円程度の送料を導入しましたが、遠方の冷凍品などで2,000円程度の送料がかかるケースでは、「送料が割安な商品を選ぶ人が多かった」という反省点がありました。そこで2019年は、価格に送料を含んだ商品を前年より約30品増やし、消費者への分かりやすさを優先しています。

岩田屋三越も、送料無料の商品を約1,400点と豊富に用意しており、昨年は送料無料の商品が売上の8割以上を占めたという実績からも、消費者が**「送料無料」を非常に重視している**ことが分かります。送料を無料にすることで、商品の魅力と利便性を高め、顧客獲得につなげようという各社の戦略が鮮明に浮かび上がってきます。九州の中元商戦は、全国的に見ても遅い7月中旬から8月までの約2カ月間が本番となります。各百貨店やECサイトが、変化する消費者のニーズに応え、いかに需要を掘り起こしていくのか、その施策から目が離せません。

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