2019年10月01日の消費税率引き上げを目前に控え、ドラッグストア業界に激震が走っています。福岡県に本拠を置くコスモス薬品は、増税後も医薬品や日用雑貨の店頭価格を維持し、実質的な値下げを断行することを決定いたしました。本来であれば2%分の上乗せが必要なところ、同社がその負担をすべて飲み込むという決断は、節約を意識する消費者にとって非常に心強いニュースとなるでしょう。
SNS上では「増税なのに価格が変わらないのは神対応」「計算が楽で助かる」といった驚きと歓迎の声が相次いでいます。キャッシュレス還元などの複雑な仕組みが増えるなか、見たままの金額で買い物ができる分かりやすさが、多くの人々の支持を集めているようです。こうしたダイレクトな還元策は、他社には真似できないコスモス薬品ならではの強烈なメッセージとして響いているのでしょう。
今回の戦略は、業界用語で「総額表示の維持」と呼ばれます。これは2004年に義務化された、消費税を含めた価格を示すルールにおいて、税率が変わっても消費者が支払う最終的な金額を変えないという手法です。ウエルシアホールディングスなどの競合他社がポイント還元などで顧客を囲い込もうとするなか、あえて「現金値引き」の姿勢を貫くことで、購買意欲の減退を防ぐ狙いがあると考えられます。
利益減を覚悟の攻勢!過去の成功体験が裏付ける強気の成長シナリオ
2019年10月以降、コスモス薬品の営業利益が一時的に減少することは避けられない見通しです。それでも同社がこの勝負に出た背景には、2014年04月の増税時に価格を据え置き、結果として増収に繋げた成功体験があります。当時は一時的に売り上げが落ち込んだものの、翌月にはV字回復を果たしました。今回も同様に、目先の利益よりも顧客の信頼を勝ち取ることで、中長期的な成長の起爆剤にする構えです。
特筆すべきは、同社の売上構成比の約6割を「軽減税率」の対象である飲食品が占めている点でしょう。軽減税率とは、生活必需品などの税率を8%に据え置く制度ですが、それゆえに食品スーパーとの価格競争は一層激化します。あえて全商品の価格を据え置くことで、食品も日用品も「コスモスが一番安い」という印象を植え付け、スーパーからの買い物客を根こそぎ取り込む戦略は非常に理にかなっています。
編集者の視点から見れば、この徹底した「エブリデー・ロー価格」の追求こそが、同社の真骨頂であると感じます。特売やチラシをあえて行わないコスト削減の姿勢が、増税時の大胆な「実質値下げ」を可能にしているのでしょう。この挑戦が業界全体の価格競争にどのような影響を与えるのか、2020年05月期から2021年05月期に向けた同社の動向に、今後も目が離せません。
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