2019年09月19日、中国の自動車市場は大きな転換点を迎えています。市場全体が2年連続で前年実績を下回るという厳しい逆風にさらされる中で、明暗がはっきりと分かれ始めました。好調を維持する日系メーカーに対し、稼働率が7割を切るという苦境に立たされた既存メーカーも少なくありません。しかし、この窮地を救う意外な存在として、新興の新エネルギー車(NEV)スタートアップが急速に台頭しているのです。
「新エネルギー車(NEV)」とは、中国政府が普及を強力に後押ししている電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車などの総称を指します。現在、経営難に陥った工場の受け皿として、これら新進気鋭の企業が次々と買収や提携を打ち出しています。例えば、北京車和家信息技術(CHJオートモーティブ)は、重慶市の民営大手である力帆汽車を買収し、自社の生産基盤を確保する戦略に出ました。独自の技術とスピード感を持つ新興勢力が、伝統的な拠点を飲み込み始めています。
また、緑馳汽車集団は、かつて日本企業のスズキが撤退した旧工場を活用し、中国長安汽車集団と共にEV生産を開始する動きを見せています。さらに新興のバイトンも、国有大手の中国第一汽車集団傘下で不振に陥っていた企業を買収しました。こうした動きは、単なる工場の再利用にとどまらず、古い産業構造を次世代のテクノロジーで上書きしようとする、非常にダイナミックな「業界再編の嵐」であると私は確信しています。
世界最大のEV市場が直面する光と影
SNS上では、こうした急進的な買収劇に対し「中国のスピード感には驚かされる」「古い工場が最新のEV拠点に生まれ変わるのは合理的だ」といった驚嘆の声が上がっています。上海蔚来汽車(NIO)も自社工場を持たず、安徽江淮汽車集団に製造を委託する手法をとるなど、固定費を抑えた効率的な経営モデルが注目を集めています。稼働率低迷に悩む韓国の現代自動車も、重慶工場で新エネ車を製造する方針を固め、生存をかけたシフトを鮮明にしました。
数字を見れば、その勢いは一目瞭然でしょう。2019年01月から06月までの新エネ車販売台数は、前年同期比で約7割増という驚異的な伸びを記録しました。しかし、楽観視ばかりはできません。足元では政府の補助金削減という逆風が吹き荒れており、米テスラのような外資系巨人の本格参入も始まっています。私個人の意見としては、資本力に乏しい新興企業が、今後も不振メーカーの救世主であり続けられるかは、まさに正念場を迎えていると感じます。
今の中国市場は、まさに「適者生存」のサバイバルゲームの舞台です。既存勢力の工場というハードウェアに、スタートアップの先進的なソフトウェアが組み合わさることで、どのような化学反応が起きるのか目が離せません。日系メーカーが好調を維持する中で、この新興EV勢力がいかにシェアを奪い取っていくのか、あるいは淘汰されていくのか。この2019年という年は、後から振り返った時に決定的な分岐点となることは間違いありません。
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