インド最大の経済都市ムンバイで、2014年に運行を開始した都市高速鉄道「ムンバイメトロ」が、今まさに市民の生活を劇的に変えています。驚くべきはその運賃設定で、わずか2駅の移動であれば10ルピー、日本円にして約15円という破格の安さで利用できるのです。全線乗り通しても40ルピー程度に収まり、現地の三輪タクシー「オートリキシャ」の初乗り運賃である18ルピーと比較しても、その圧倒的なコストパフォーマンスが際立っています。
2019年09月23日現在の平日の午前中、サキナカ駅では職員が慌ただしく乗客の案内を行っていました。開業から5年が経過した今もなお、初めてこの鉄道を利用する人々が絶えないのは、メトロが真の意味で「庶民の足」として定着しつつある証拠でしょう。乗車券売り場には長蛇の列が見られますが、これは券売機でお釣りが出ないという不便さゆえの光景です。それでも、多くの人々がこの新しい移動手段を心待ちにしている熱気が伝わってきます。
システム面では、コイン型のプラスチックICチップを改札にかざす方式を採用しており、日本の鉄道環境と比べても遜色がありません。SNS上では「エアコンが効いていて天国のようだ」といった声や、「国営鉄道のように扉を開けたまま走ることがないので安心できる」という投稿が相次いでいます。清潔で安全な車内環境は、これまでのインドの鉄道イメージを覆す、まさに交通革命と呼ぶにふさわしい進化を遂げているのではないでしょうか。
世界一の渋滞都市を救う「空のバイパス」の威力
現在開通しているのは市内北部を東西に結ぶ約11キロメートルの高架鉄道です。かつて車では1時間以上を要したこの距離を、メトロはわずか25分ほどで駆け抜けます。オランダのデジタル地図大手トムトムの調査によれば、ムンバイの渋滞は世界最悪の水準にあります。通常時よりも移動時間が65%も余計にかかるという過酷な状況において、定時性に優れた鉄道の登場は、まさに市民にとっての救世主といえる存在です。
この慢性的な渋滞は単なる不便さにとどまらず、ムンバイを含むインド主要4都市で年間1兆5000億ルピーもの甚大な経済損失を生んでいると試算されています。「時間は金なり」という言葉を地で行くような状況において、鉄道整備は国家的な急務といえるでしょう。個人的な見解としても、インフラの近代化は単なる移動の効率化だけでなく、人々の時間的なゆとりを生み、結果として都市全体の生産性を高める起爆剤になると確信しています。
今後は、国際空港と南部の観光拠点を結ぶ地下鉄路線や、南北を縦断する新路線の工事も着々と進められる計画です。地下鉄とは、道路の下など地中にトンネルを掘って走る鉄道のことで、地上の混雑に左右されないのが最大の利点です。これらの網状のネットワークが完成すれば、ムンバイの街並みはさらに変貌を遂げるでしょう。渋滞が解消され、誰もがスムーズに移動できる未来のムンバイが、すぐそこまで来ていることを予感させます。
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