群馬県内の企業が、今、熱い視線を海外に向けている様子です。これまで、地元の製造業と言えば、自動車産業など一部の業種で国際的な展開が盛んでしたが、玩具や生活雑貨、食品といった幅広い分野の企業が本格的に輸出を始める動きが広がっています。その背景にあるのは、国内の市場が人口減少によって先細りになるという強い危機感。外需を開拓するため、多くの企業が「重い腰」を上げ、新たな一歩を踏み出している状況にあるのです。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の国内拠点が群馬県に設置されたのは、2018年7月と、全国45番目という比較的遅いタイミングでした。これは、群馬県が東京という巨大な消費地に近い立地にあるため、あえてリスクを負ってまで海外市場を目指す必要性が低かったことの裏返しと言えます。群馬県の産業構造は、製造業の占める割合が全国平均の約2割を上回る約3割と高いのが特徴ですが、その中心は自動車関連であり、それ以外の「ものづくり」系企業は「内向き」な傾向が強かったと言えるでしょう。
しかし、この流れは確実に変わりつつあります。例えば、郷土玩具として全国一の生産量を誇る高崎だるまの老舗、今井だるま店NAYA(高崎市)は、創業約90年という歴史を持ちながらも海外展開に乗り出しました。同社の今井裕久社長は、リサイクル紙を使った手作りの「だるま」が、欧州で非常に共感を呼んでいることに手応えを感じているそうです。2018年にはシンガポールやパリで、2019年にはロンドンでも販売が始まり、今後は米国にも販路を拡大する計画とのこと。海外での販売は、国内市場でその価値が「再認識される」という波及効果への期待も込めていると言います。
また、群馬県が全国一の生産量を誇る「こんにゃく」を利用した商品も、海外市場で人気を集めています。食用ではなく、洗顔用の「こんにゃくスポンジ」を製造する山本農場(富岡市)は、2019年に新ブランド「JUICY Konjac Sponge」を立ち上げました。従来の輸出先であるフランスに加え、新たにインドやマレーシアなどからも受注を獲得し、販路を広げている最中です。同社は、海外での展示会への出展などを積極的に行い、1カ国に1社は取引先を開拓することを目標としています。現在の売上高約1億円弱のうち海外比率は約2割ですが、将来的には5割まで高めたいという意欲的な考えを持っています。
この輸出への熱意は、他の食品業界にも波及しています。例えば、納豆製造大手のまるだい(前橋市)は欧米への輸出を始め、今後は東南アジア市場の開拓も視野に入れています。同社の柳沢和世副社長は、「人口減少で国内市場が縮小するのは明白」と断言しつつ、「日本の発酵食品の素晴らしさを世界の消費者に知ってほしい」という熱い想いを語っています。SNSでは、こうした群馬企業の海外展開のニュースに対し、「素晴らしい試み!世界で群馬の魅力が広がるのは嬉しい」「地元の特産品が海外で評価されるなんて誇らしい」といった前向きな反応が多く見受けられます。
ジェトロへの輸出に関する企業の相談件数も、この危機感と期待を裏付ける数字を示しています。県内に拠点が設置される前の2017年までは月間30件程度で推移していましたが、現在ではその3倍にあたる90件程度にまで急増している状況です。群馬県も、農畜産物の生産者向けに展示会への出展経費の一部を支援するなど、輸出促進策を積極的に講じています。私の見解としては、国内市場の縮小は避けられない現実ですが、こうした動きは、地域の持つ「ものづくり」の技術やユニークな特産品を「ガラパゴス化」させず、世界基準で通用する競争力を磨く絶好の機会と捉えるべきでしょう。群馬県の事業者が海外市場を目指す動きは、今後ますます広がっていくと期待されます。
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