国内の電炉メーカー最大手として君臨する共英製鋼が、2019年9月20日、建設現場に欠かせない「異形棒鋼(いぎょうぼうこう)」の2019年10月分販売価格を据え置く方針を固めました。これで価格維持は6カ月連続となります。市場では主原料である鉄スクラップの価格が下落傾向にあるため、値下げを期待する声もありましたが、同社はあえて現状維持という強気の選択を下したのです。
異形棒鋼とは、表面に節状の凹凸を施した棒状の鋼材を指し、主に鉄筋コンクリート造のマンションや橋梁の芯材として利用される重要な建材です。この凹凸があることでコンクリートとの密着性が高まり、構造物の強度を飛躍的に向上させる役割を担っています。SNS上では「材料費が下がっているのに価格が変わらないのは痛い」といった建設関係者の切実な嘆きが散見される一方で、最大手の動向に注目が集まっています。
現在の市場環境を詳しく見ていくと、主原料である鉄スクラップの価格は、海外での建材需要の停滞を受けて弱含みの展開が続いています。さらに、一時期は高騰が続いていた製造用の黒鉛電極や合金鉄といった副資材のコストアップも、ようやく一服感が出てきました。コスト面だけを考慮すれば値下げの余地があるようにも見えますが、共英製鋼は先を見据えた独自の経営判断を優先したと考えられます。
秋の需要回復を見据えた最大手の戦略と今後の展望
同社の2019年5月から2019年8月にかけての新規受注量は、端境期(はざかいき)と呼ばれる需要の谷間に当たったことで、前年比2割減という厳しい数字を記録しました。しかし、2019年10月以降はマンション建設を中心とした大型案件の動きが活発化すると予想されています。需要が再び盛り上がるタイミングを前に、安易な値下げに踏み切るのではなく、収益性を確保したいという思惑が透けて見えます。
私個人の見解としては、国内シェア約2割を誇るリーダー企業のこの決断は、業界全体の価格秩序を守るための「防波堤」のような役割を果たしていると感じます。一度価格を下げてしまえば、再び上昇局面に転じた際に値上げを浸透させるのは容易ではありません。現在は買い手である商社や建設会社とのタフな交渉が予想されますが、品質と安定供給を維持するためには、この価格水準を死守する必要があるのでしょう。
今後は、秋以降の新規受注が実際にどれほど積み上がるかが焦点となるでしょう。原料安の恩恵を享受しつつ販売価格を維持できれば、メーカー側の利益率は改善しますが、建設コストの上昇を懸念する施主側との温度差は広がるばかりです。2019年10月以降のマーケットが、この強気の姿勢をどこまで受け入れるのか、引き続き注視していく必要がありそうです。
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