住み慣れた土地を離れ、2019年09月20日現在、私はサンフランシスコから車で1時間ほどの場所にあるマウンテンビューという地域で新生活を送っています。初めての育児に奮闘する中で切実に感じたのは、近所に気軽に相談できる「ママ友」が欲しいということでした。そんな折に出会ったのが、まるで恋人探しのような感覚で理想の相手を探せるアプリ「Peanut(ピーナッツ)」です。
このアプリは、世界的に有名なデーティングアプリ「Tinder(ティンダー)」の仕組みを育児の世界に持ち込んだ画期的なサービスとして注目を集めています。操作は非常にシンプルで、画面に表示された写真やプロフィールを見て、気が合いそうなら上に、そうでなければ下へと指でなぞる「スワイプ」を行うだけです。この直感的な操作性が、忙しい現代の母親たちの心を掴んでいるのでしょう。
使い始めるにあたっては、名前や居住地、自己紹介に加えて、仕事のスタイルや趣味、話せる言語などを登録します。一般的なマッチングアプリと異なる点は、子供の年齢という項目があることくらいかもしれません。実際に2019年の今、全米で50万人を超えるユーザーが毎日アプリを開いており、テクノロジーに親しみのある層を中心に、新しい交流の形として定着しつつあります。
スワイプが生む新しい縁とデジタル時代のコミュニティ形成
SNS上では「公園でいきなり声をかけるのは勇気がいるけれど、アプリならお互いに友達を求めていると分かっているので安心」というポジティブな声が多く聞かれます。一方で「条件で人を選別するようで少し寂しい」という意見もあり、出会いの効率化に対する戸惑いも見受けられました。しかし、共通の目的を持った者同士を繋ぐ合理的なツールであることは間違いありません。
私自身も、自分なりのルールを決めて1ヶ月ほど運用してみたところ、21人もの方とマッチングが成立しました。そこからメッセージのやり取りを経て、実際に3名の方とお会いし、現在も親交が続いている方がいます。リアルな場での偶然を待つよりも、自分の生活圏内で月齢の近い子供を持つ母親と効率的に出会えるメリットは、想像以上に大きいと感じています。
ここで言う「マッチング」とは、システムがデータに基づいて最適な相手を提案し、相互に興味を持った場合にのみ連絡が可能になる仕組みを指します。以前は恋愛目的が主流でしたが、現在は犬好きの仲間探しや同性の友人作りなど、特定の属性を持つコミュニティ形成へと応用範囲が広がっています。効率を重視する世代にとって、指先一つで人間関係を広げる手法はもはや日常の一部です。
巨大プラットフォームの参入と広がる「知らない誰か」との繋がり
こうした流れに呼応するように、Facebookも恋人探し機能を全米でリリースしたばかりです。2019年09月時点ではカナダやメキシコ、アジアの数カ国を含む20カ国で展開されており、2020年初頭には欧州への拡大も予定されています。2億人もの独身ユーザーを抱える巨大プラットフォームが動くことで、オンラインでの出会いはさらに一般的なものへと変化していくはずです。
Facebookは近年、従来の「知人との近況報告」という枠を超え、見知らぬ個人間で物品を売買するマーケットプレイスなど、外部とのコミュニケーションに力を入れています。私も最近では、Facebook内のグループを通じて多くのママ友を作ることができました。これからは「身近な人との繋がり」を維持する場所から、「新しい世界を広げる場所」へと役割が変わっていくのでしょう。
個人的な意見としては、育児という孤独になりがちな時期に、テクノロジーが救いの手を差し伸べてくれる現状を歓迎しています。もちろん画面越しの選別にはドライな印象も伴いますが、それ以上に「独りじゃない」と思える安心感には代えがたい価値があります。今後は恋愛に限らず、あらゆるライフステージに寄り添ったマッチング機能が開発されることを切に願っています。
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