🌏2020年東京五輪に間に合うか?レジ袋有料化義務付けへ—海洋プラスチックごみ対策の「象徴」が抱える制度設計の課題とSNSの反応

2019年6月15日、長野県軽井沢町で開催されたG20(ジー・トゥエンティ:主要20カ国・地域)エネルギー・環境相会合において、世耕弘成経済産業大臣は、小売店で提供されるレジ袋の有料化を、2020年の東京オリンピックに間に合わせるべく、同年4月1日にも義務付ける方針を表明されました。政府として有料化の時期を明確に示したのは、これが初めてのことであり、環境問題への取り組みとして大きな一歩となります。

このレジ袋有料化は、G20でも重要な議題となっている海洋プラスチックごみ(廃プラと略されることもあります)対策の目玉の一つです。プラスチック製のレジ袋は、ポイ捨てなどによって最終的に海に流れ着き、生態系に深刻な影響を与えることが懸念されています。政府は、この有料化の義務付けを、容器包装リサイクル法(容リ法)という既存の法律の省令(しょうれい:各省の大臣が定める命令のことで、法律より簡易に変更できるのが特徴です)を改正することで対応する計画です。

しかし、具体的な制度設計、例えば有料化の対象となるレジ袋の素材や範囲をどうするか、そしてその内容を全国津々浦々の中小・小規模の小売店を含め、周知徹底する(広く一般に知らせ、理解してもらう)ためには、残された時間は非常に少ないのが現状です。世耕経産大臣も、環境省や関係省庁と連携し、さらに当事者である小売店の意見も聴きながら議論を進める必要があると説明されています。

ちなみに、日本国内で年間使用されるレジ袋の量は約20万トンと推計されており、これは年間排出される廃プラ全体のわずか約2%に過ぎません。削減効果だけを見れば全体への貢献度は大きくはないのですが、原田義昭環境大臣はこれを「使い捨てプラスチック削減の象徴となる」と位置づけています。海外では既にレジ袋の無料配布を禁止している国も多く、国際的な注目を集める東京五輪までにこの対策を進めることで、日本の環境意識の高さを世界にアピールする機会としたい考えでしょう。

スポンサーリンク

制度設計の不透明さと法律上の課題

このレジ袋有料化の議論は、2018年10月に原田環境大臣が使い捨てプラスチックごみ対策として「有料化が有力だ」と義務付けの方針を打ち出したことに端を発します。当初は容リ法などの法改正(ほうかいせい:国会での審議を経て法律そのものを変えること)も含めて検討する姿勢でしたが、世耕経産大臣は2019年6月7日の閣議後会見で「法改正より省令改正の方が迅速で実効性のある対応策になる」との見解を示されました。省令改正は、政府の判断で迅速に進められるメリットがある反面、国民生活に広範な影響を与える制度を国会の審議を経ずに導入して良いのかという、民主的なプロセス上の問題が指摘される可能性もあります。

また、省令改正で対応することには、実効性の面でも懸念の声が上がっています。環境法を専門とする早稲田大学の大塚直教授は、「省令では、違反があった際にすぐ罰則を適用する直罰(ちょくばつ)ができない」と指摘しています。つまり、勧告などのステップを踏まなければならず、著しい違反がない限りは取り締まれないため、レジ袋の削減効果が限定的になる恐れがあるというわけです。大塚教授は、今回の省令改正による対応はやや場当たり的な印象があり、実効性を高めるためには法改正も含めた議論を重ねるべきだと警鐘を鳴らしています。

SNSでの反響と編集者としての見解

この報道に対し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では早くも様々な意見が飛び交っています。「やっとレジ袋が有料になるのか、環境意識が高まって良いことだ」と歓迎する声がある一方で、「たった2%の削減にしかならないのに、中小企業への負担が増えるのでは」「オリンピックに間に合わせるために、拙速(せっそく:物事を急ぎすぎること)に進めるのは問題ではないか」といった懸念の声も目立ちます。特に、有料化の金額設定や、レジ袋の代替となるエコバッグの利用促進策など、具体的な運用面に関心が高まっているようです。

私見を述べさせていただきますと、レジ袋有料化は、廃プラ問題解決への第一歩として非常に重要であると考えます。確かに、全体のごみ排出量に占めるレジ袋の割合は小さいかもしれませんが、私たちは日々の買い物で最も頻繁に「使い捨てプラスチック」を目にし、手にしています。この「象徴的な存在」を有料化することで、消費者の皆様の意識に訴えかけ、プラスチックとの付き合い方そのものを見直すきっかけとなることに、大きな意義があるのでしょう。ただし、制度設計においては、実効性を担保するために大塚教授が指摘されるような法的な課題を真摯に受け止め、拙速にならず、国民的な理解を得られるよう透明性の高い議論が不可欠であると感じています。2020年4月1日の義務化に向け、政府にはより丁寧で、かつ迅速な対応が求められるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました