東海地方のソウルフードとして親しまれている「スガキヤ」が、今まさに大きな転換期を迎えています。名古屋市を拠点とするスガキコシステムズは、2019年4月1日から2019年9月30日までのわずか半年間で、姉妹店を含む36店舗という大規模な閉店に踏み切りました。これは全店舗の約1割に相当する異例の規模であり、長年親しんできたファンにとっては衝撃的なニュースといえるでしょう。
SNS上では「地元の店舗がなくなるなんて信じられない」「あの味が手軽に楽しめなくなるのは寂しすぎる」といった悲しみの声が次々と上がっています。1990年代には400店舗を超えていたスガキヤですが、1999年の東京撤退以降は中部、北陸、関西エリアを中心に約360店舗の体制を維持してきました。しかし、ここへ来てさらなる店舗削減という、経営の舵を大きく切る決断を下したのです。
今回の大量閉店の背景には、経営を圧迫する「三重苦」の存在があります。具体的には、材料費の高騰、人件費の上昇、そして光熱費の増大が、収益を激しく削り取っている状態です。特に、ラーメンに欠かせないネギや、人気スイーツ「クリームぜんざい」の主役である北海道産小豆の価格上昇が深刻です。これらは天候不順や不作が原因であり、企業努力だけではコントロールが難しい課題となっています。
また、深刻な人手不足も現場を疲弊させています。2019年6月時点の中部地区における飲食店スタッフの平均時給は、前年比で20円も上昇しました。こうした固定費の増大により、2019年3月期の単独経常利益は前の期に比べて26%も減少する結果となっています。今回の店舗削減は、赤字店舗を整理することで採算を改善し、残った店舗へ人員を再配置してスタッフの労働環境を守るという「攻めの撤退」とも解釈できるでしょう。
少子化とコスト高に立ち向かう、名古屋の味のゆくえ
原油価格の高騰による電気やガス代の上昇も、店舗運営の重荷となっているのが現状です。スガキヤはこれまで、郊外のショッピングモールを主戦場としてきましたが、地方での少子化進行は無視できないリスクとなっています。私は、今回のリストラを単なる縮小ではなく、次世代へ生き残るための「筋肉質な経営」への脱皮だと考えます。安くて美味しい伝統を守るためには、時にはこうした痛みを伴う改革が必要不可欠なのです。
店舗の削減は2019年9月をもって一旦落ち着く見通しですが、今後の成長は都市部や海外での展開が鍵を握ることになるでしょう。愛され続ける唯一無二の味が、厳しい経済状況の中でどのように進化していくのか、私たちは期待を込めて見守る必要があります。今は寂しさが募りますが、効率化によってサービスの質が向上し、再び活気あるスガキヤの姿が見られる日を願ってやみません。
コメント