障害の有無に関わらず、誰もが自由に旅を楽しめる「ユニバーサルツーリズム(UT)」が、今まさに首都圏で熱い注目を集めています。2019年9月21日現在、翌年に控えた2020年東京五輪・パラリンピックを契機として、国内外から訪れる多様なゲストを温かく迎え入れるための環境整備が官民一体で急速に進んでいるのです。
ユニバーサルツーリズムとは、高齢の方や障害を持つ方、あるいは小さなお子様連れのご家族など、すべての人が安心して旅行を楽しめるよう工夫された旅のスタイルを指します。SNSでは「車いすでも海に行けるなんて夢のよう」「事前の情報が詳しいと安心感が違う」といったポジティブな反響が広がっており、社会全体の期待値の高さが伺えますね。
「ちばのハートフルな宿」が示す情報開示の新しい形
千葉県旅館ホテル生活衛生同業組合では、公式サイト内に「ちばのハートフルな宿」という特設ページを公開しました。ここでは車いす利用者と共に行われた現地調査に基づき、ドアの幅や段差の高さといった細かな実測値を写真付きで紹介しています。完全なバリアフリー改修はハードルが高くても、正確な情報があれば当事者は利用を判断できるのです。
例えば千葉県鴨川市の「房総鴨川温泉 是空」では、こうした詳細情報を公開したことで高齢者や障害を持つ方の宿泊が増加しました。大規模な設備投資をせずとも、丁寧な情報提供という「ソフト面」の工夫だけで、リピーターを惹きつける魅力的な宿になれることを証明しています。こうした現場の知恵は、観光業界全体にとって大きなヒントになるでしょう。
また、神奈川県鎌倉市の観光協会も「湘南バリアフリーツアーセンター」と連携し、2019年11月末までの公開を目指して市内のバリアフリー状況を多言語で発信する準備を進めています。世界中から観光客が訪れる鎌倉において、「誰もが楽しめる街」というブランドイメージを確立することは、国際的な観光都市としての価値をさらに高めるはずです。
行政の強力なバックアップと「海」での画期的な試み
自治体の支援も非常に手厚くなっています。東京都では客室をバリアフリー化する事業者に対し、2019年時点で最大4800万円もの補助金を交付しています。さらに、接遇向上のための研修やマニュアル作成にも上限150万円を補助するなど、施設改修という「ハード」と、おもてなしの心という「ソフト」の両輪でサポートを行っているのが特徴です。
さらに2019年の夏、鎌倉市の由比ガ浜海水浴場では驚くべき試みが行われました。車いすのまま海に入ることができる「水陸両用車いす」の貸し出しや、介助員の配置、さらに仮設のバリアフリートイレの設置が実現したのです。障害があるからと諦めていた「海水浴」というレジャーが、官民の協力によって身近なものへと変わりました。
観光業界にとって、ユニバーサルツーリズムへの対応は単なる社会貢献ではありません。人口減少社会において、増加する高齢者層や訪日客を確実に惹きつけるための重要なビジネス戦略です。事業者の負担は決して小さくありませんが、一歩踏み出すことで得られる新しい客層との出会いは、業界の未来を明るく照らす光になると私は確信しています。
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