2016年12月13日に沖縄県名護市の沿岸部で発生した、米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの大破事故が、新たな局面を迎えました。第11管区海上保安本部は2019年09月24日、航空危険行為処罰法違反の疑いで、氏名不詳のまま当時の機長を那覇地検に書類送検しています。事故発生から約3年という月日が流れ、公訴時効が目前に迫る中での苦渋の決断といえるでしょう。
今回の送検において最大の障壁となったのは、日米地位協定という大きな壁です。これは日本国内にある米軍基地の運用や、米軍人の法的地位などを定めた取り決めのこと。この協定の影響により、日本側の捜査当局は米側から十分な捜査協力を得ることが困難でした。容疑者を特定するための不可欠な情報提供がなされないまま、時間だけが過ぎ去ってしまった事実は、法執行の在り方に一石を投じています。
SNS上では、このニュースに対して「名前すら分からないまま送検されるのは、日本の主権としてどうなのか」といった疑問の声や、「事故の再発防止が求められる中で、責任の所在が曖昧になるのは納得できない」という厳しい意見が数多く投稿されました。国民の間では、沖縄の基地負担や安全保障に対する不安が改めて浮き彫りになっており、情報の不透明さに対する不満が渦巻いている様子が伺えます。
編集部としての視点ですが、今回のように「誰が操縦していたか」という基礎的な事実さえ解明できない状況は、法治国家として看過できない事態だと感じます。米軍の運用上の機密があるとはいえ、重大な事故によって地域住民に多大な恐怖を与えた以上、真摯な説明責任を果たすべきではないでしょうか。捜査協力の拒否が常態化すれば、今後も同様の事態が繰り返されるリスクを排除できません。
ここで触れた「航空危険行為処罰法」とは、飛行中の航空機に危険を及ぼしたり、墜落させたりする行為を罰する法律です。通常、民間機の事故であれば厳格な原因究明と責任追及が行われます。しかし、軍用機かつ日米のパワーバランスが絡む現場では、その適用が極めて難しいのが現実でしょう。今回の「氏名不詳」での送検は、捜査当局が最後まで真相究明を諦めなかった執念の証とも解釈できます。
2019年09月25日現在、この問題は地検の判断に委ねられることになります。しかし、機長の名前すら特定できない状態では、実効性のある起訴や公判を維持することは極めて困難であると予想されます。日米両政府は、単なる手続きの完了で終わらせるのではなく、なぜこのような捜査の行き止まりが生じたのか、制度の根幹を見直す勇気を持つべき時期に来ているのではないでしょうか。
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