多くの人が「人生100年時代」という言葉を耳にするようになった昨今、シニアライフに対する意識はかつてないほど大きな変化を迎えています。医療機器メーカーのオムロンヘルスケア株式会社が、2019年9月26日までに40代から70代の男女を対象に実施した意識調査の結果を公表しました。それによると、現代を生きる世代が抱く最大の懸念事項は、身体的な衰えよりもむしろ家計のやりくりであることが浮き彫りになっています。
本調査において、老後の生活で最も不安に感じている要素を尋ねたところ、「健康」を差し置いて「お金」と回答した人が多数派を占める結果となりました。かつては「体が資本」と言われ、健やかに過ごすことこそが幸せの基盤と考えられてきました。しかし、長寿化が進む現代においては、長生きすることそのものが経済的なリスク、いわゆる「長生きリスク」として捉えられるようになっている現状が伺えるでしょう。
こうした調査結果に対し、SNS上では「どれだけ健康であっても、貯金がなければ生活が成り立たない」「医療技術が進歩しても、それを受けるための資金がなければ意味がない」といった切実な声が数多く上がっています。特に40代や50代の現役世代からは、年金受給額への不信感や物価上昇への懸念から、健康維持よりもまず資産形成を優先せざるを得ないという悲鳴に近い意見も散見されました。
ここで注目すべきは、資産運用や早期のマネープラン策定が「後手」に回っているという実態です。資産運用とは、銀行に現金を預けるだけでなく、株式や投資信託などを通じて効率的に資産を増やしていく仕組みを指しますが、多くの人がその必要性を感じつつも具体的な行動に移せていない様子が判明しました。日々の忙しさや知識不足が障壁となり、将来への備えが不十分なまま時間だけが過ぎていく傾向にあるようです。
編集者の視点から言わせていただければ、この「健康よりお金」という逆転現象は、現代社会が抱える非常にシビアな歪みを象徴していると感じます。本来、健康と経済的な安定は車の両輪のような関係であり、どちらか一方が欠けても真に豊かな老後は実現できません。しかし、公助への期待が薄れる中で、自助努力による資産形成の重圧が人々の心に深く影を落としているのは見過ごせない事実ではないでしょうか。
これからは病気になってから対処する「治療」だけでなく、病気を未然に防ぐ「予防医療」への投資が、結果として将来の医療費を抑える最大の資産防衛策になるはずです。お金の不安を解消するための投資の知識を身につけることはもちろん大切ですが、それと同時に健康を維持することも、支出を減らすという意味で立派な経済活動と言えます。2019年9月26日現在のこの意識を契機に、自分らしいライフプランを見つめ直したいものです。
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