愛媛県松山市に本社を構えるアウトレット家具の風雲児、ビッグウッドがインターネット通販事業を本格的に始動させます。2019年09月26日、同社は福岡県内の物流センターにある在庫情報をリアルタイムで一般公開するという、業界でも類を見ない画期的な取り組みを発表しました。これにより、消費者は自宅にいながらにして、掘り出し物の状況を手に取るように把握できるようになるでしょう。
このサービスの特筆すべき点は、単なる通販に留まらない「安心感」の提供にあります。ネットで見つけた気になる商品を、最寄りの実店舗へ配送してもらい、実際に傷の程度や座り心地を確かめてから購入を判断できるのです。もしイメージと異なればキャンセルも可能で、その際の費用負担も発生しません。高額な家具選びにおいて、この仕組みは利用者にとって最大の味方となるはずです。
SNS上では「アウトレット家具をネットで確認できるのは時短になる」「実物を見てから決められるなら、失敗がなくて嬉しい」といった期待の声が早くも上がっています。ネットの利便性と実店舗の信頼性を融合させたこの「二刀流」の販売手法は、まさに現代のニーズを射抜いた戦略と言えるでしょう。11月からは約1000品目を対象にスタートし、2020年初頭には全在庫の5000品目まで拡大する計画です。
ビッグウッドの強みは、メーカーの過剰在庫や廃番品、あるいは使用に支障のない微細な傷がある「アウトレット品」を直接買い付ける独自のルートにあります。問屋を介さないことで中間マージンを徹底的に排除し、通常価格の半額程度という驚きのプライスを実現しました。ここでいう「中間マージン」とは、生産者から消費者に届くまでの間に発生する仲介業者の手数料のことで、これを省くことが安さの直結した秘訣です。
店舗に足を踏み入れると、天井近くまでソファが積み上げられた圧倒的な陳列に目を奪われます。一般的な家具店が「見せる」ショールームなら、ここは宝探しを楽しむ「倉庫」のような空間です。これまでは展示スペースの制約で扱えなかった欧米向けの大型高級家具も、ネット通販を介することで積極的にラインナップに加わります。100万円クラスの高級品が20万円台で手に入るチャンスも増えるに違いありません。
昨今はニトリに代表されるSPA(製造小売業)が市場を席巻しています。SPAとは、企画から製造、販売までを一貫して自社で行うビジネスモデルを指し、圧倒的な効率化で低価格を実現する手法です。しかし、ビッグウッドは全生産量の約3%と言われる「アウトレット品」というニッチな市場に特化することで、独自の世界観を築き上げてきました。この隙間市場こそが、大手には真似できない彼らの聖域なのです。
杉浦真悟社長は、アウトレットは品質が低いという誤解を解き、高品質なものを賢く安く買う文化を広めたいと熱く語っています。2020年02月期の売上高は52億円を見込んでおり、通販事業の成功はさらなる飛躍の鍵となるでしょう。ネット通販が単なる販売チャネルに留まらず、実店舗への呼び水となるのか。伝統的な家具販売の常識を覆すビッグウッドの挑戦から、今後も目が離せません。
個人的な視点になりますが、この戦略は非常に合理的だと感じます。家具は「実物を見ないと不安」という心理的ハードルが高い商材ですが、ネットで在庫を可視化し、店舗で最終確認させるというフローは、その不安を完璧に解消しています。安さの理由を「3%のアウトレット品」と明確に提示している点も、消費者の信頼を勝ち取る大きな要因になるのではないでしょうか。賢い消費者の心強い味方になるはずです。