世界を揺るがし続けているイギリスのEU(欧州連合)離脱問題ですが、2019年9月現在、イギリス議会ではかつてないほどの混乱が巻き起こっています。「合意なき離脱」も辞さない構えを見せるボリス・ジョンソン首相に対し、野党側が真っ向から対立する構図が鮮明になっているのです。新学期を迎えた学生の皆さんの間でも、国際社会の授業などでこの話題に触れる機会が増えているのではないでしょうか。
2019年9月には、イギリスの政治史に残る大きな動きがありました。もし離脱案がまとまらない場合、政府に対して離脱期限を2019年10月末から2020年1月末まで延期するようEUへ申請することを義務付ける法律が成立したのです。10月末までの決着を公約に掲げるジョンソン首相は、国民に信を問うべく解散総選挙の動議を出しましたが、身内である保守党の一部からも反旗を翻され、あえなく否決されるという異例の事態に陥っています。SNS上でも「これからのイギリスはどうなるのか」と不安と関心の声が渦巻いていますね。
なぜイギリスは離脱を選んだのか?背景にある労働者の叫び
時計の針を少し戻してみましょう。イギリスが国民投票で離脱を決定したのは、2016年6月23日のことでした。その背景には、旧社会主義諸国から流入した低賃金労働者によって自分たちの仕事や賃金が脅かされているという、一般労働者たちの切実な不満があったのです。もともとイギリスは「自主独立」の精神が非常に強く、自分たちのルールを大陸側のEUに決められることへの反発も根強くありました。プライドと生活、その両面から生まれた選択だったと言えるでしょう。
当初は2019年3月までに離脱を完了する予定でしたが、経済的な取り決めだけでなく、北アイルランドの国境管理という非常にデリケートな問題が壁となって立ちはだかりました。ジョンソン首相は強硬な姿勢を見せることでEUから譲歩を引き出そうとしていますが、EU側も「一度離脱を許せば、他の国も後に続くかもしれない」という危機感から、決して簡単には首を縦に振りません。まさに、国際的な「我慢比べ」が続いている状態なのです。
「自国第一主義」の台頭と崩れゆく欧州の理想
もし何の取り決めもないまま「合意なき離脱」が強行されれば、物流や貿易は麻痺し、私たちの生活にも無関係ではいられません。EUは人口約5億人を抱える巨大な単一市場であり、多くの企業がイギリスを欧州の拠点としてきました。しかし、この混乱が続けば企業は拠点を他国へ移さざるを得なくなり、その経済的損失は計り知れません。一つの国のようにまとまって発展を目指してきたEUの理念が、今まさに大きな岐路に立たされていると言えます。
こうした混乱の根本には、近年世界中に広がっている「自国第一主義」があります。中東などの混乱から逃れてきた難民の急増、そして相次ぐテロ事件への恐怖が、人々の心を内向きに変えてしまいました。かつては寛容だったドイツでさえ、現在は難民受け入れに厳しい目が向けられています。2016年にアメリカでトランプ大統領が誕生したのも、この流れと同じ根っこを持っています。私たちは今、理想よりも「自分たちの生活」を優先する時代の荒波の中にいるのです。この先、欧州がどのような未来を描くのか、引き続き注視していく必要があります。
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