2019年09月29日に開催されたJ1リーグ第27節、首位を争うFC東京と残留を懸けて戦う松本山雅FCの一戦は、見る者の予想を裏切る緊迫した展開となりました。戦前の下馬評ではFC東京の優位が伝えられていましたが、蓋を開けてみれば主導権を握っていたのはアウェイの松本山雅の方だったと言えるでしょう。特に松本の背番号11、永井龍選手が放った後半72分のヘディングシュートがクロスバーを叩いた場面は、スタジアミ全体が息を呑む決定的な瞬間でした。
松本の指揮を執る反町康治監督は、前日に日本中を熱狂させたラグビーワールドカップの金星になぞらえ、勝利を逃した悔しさを滲ませていました。この試合で際立っていたのは、自陣に強固なブロックを築いて相手を誘い出す「待ち」の戦術です。これは守備の陣形を整えて相手のミスを待ち、ボールを奪った瞬間に素早く攻撃へ転じる「堅守速攻」のスタイルを徹底したものでした。FC東京はこの計算された包囲網に足元を掬われ、終始リズムを崩されていた印象です。
本来、FC東京も守備から攻撃への切り替えの速さを武器とするチームですが、自分たちがボールを保持して「崩し」を強要される展開には脆さを見せました。松本が組織的にスペースを消す中で、FC東京の選手たちはパスを後ろに下げる場面が目立ち、そこを狙い澄ました松本のプレスに晒される悪循環に陥っています。永井謙佑選手も「そこを打破しなければならない」と危機感を口にしましたが、停滞した空気を切り裂くような決定打は最後まで生まれませんでした。
SNS上ではサポーターから「攻めあぐねる姿がもどかしい」「久保建英がいれば……」といった、かつての若き才能を惜しむ声が数多く寄せられています。スペインへと旅立った久保選手のように、密集したエリアで魔法のような変化を加えられる個の力が、今のチームには欠けているのかもしれません。Jリーグ全体を見渡しても、違いを作れるタレントが次々と海外へ流出している現状があり、それが各チームの「守っていれば負けない」という消極的な守備戦術を助長しているようにも感じられます。
筆者の視点としては、現在のFC東京には戦術的な柔軟性が一段と求められていると考えます。相手に引かれた際、いかにしてブロックの外から揺さぶりをかけ、個人の突破に頼らずに守備網を切り裂くか。優勝という悲願を達成するためには、こうした「持たされる試合」での勝ち点3の積み上げが不可欠です。スター選手が不在となった今こそ、チーム全体の連携で鍵をこじ開ける新しい攻撃の形を構築すべき時期に来ているのではないでしょうか。
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