今、世界各地で猛威を振るう豪雨災害に立ち向かうため、日本が誇る独自の防災技術「SABO(砂防)」が国際的な注目を集めています。2019年09月30日現在、国際協力機構(JICA)による「PROJECT SABO」がスリランカで展開されており、土砂災害から住民の命を守るための技術移転が着実に進んでいます。「TSUNAMI」と同様に、日本語がそのまま世界共通語として定着している事実は、日本の砂防技術がいかに先駆的であるかを物語っているでしょう。
スリランカではこれまで、洪水や土石流といった激しい豪雨災害によって、尊い命が失われる悲劇が繰り返されてきました。そこでJICAは2018年までの5年間にわたり、砂防ダムなどの構造物を設計・施工し、維持管理するハード面の技術支援を実施しています。さらに、2019年からは土砂災害の危険箇所を可視化する「ハザードマップ」の作成や、迅速な避難を促す早期警報システムの構築といったソフト面の対策支援にも乗り出しました。
「ハザードマップ」とは、自然災害による被害の予測範囲や避難場所を地図化したもので、住民の命に直結する重要な情報源です。多くの国々では、地滑りや土石流が発生しやすい山間部の対策が後回しにされがちで、災害が起きてから住民を移転させるという「事後処理」に留まる傾向がありました。JICAの折田直哉調査役によれば、日本のような「未然に被害を軽減する」という考え方は、世界の防災意識を根底から変える可能性を秘めています。
かつて900人以上の犠牲者を出したブラジルでも、2012年以降は日本の知見を導入し、国家規模で「SABO」に注力し始めました。専門家が現地へ赴き、リスク評価のマニュアル作成や観測施設の整備をサポートしたことで、現地の都市開発はより安全なものへと進化を遂げています。SNS上でも「日本の防災技術は地味だけれど、世界最強のインフラ輸出だ」といった称賛の声が上がっており、その信頼性の高さが伺えるのではないでしょうか。
こうした国際貢献の広がりは、欧州諸国との技術会議や東南アジアへの専門家派遣など、地球規模のネットワークへと発展しています。2019年09月にはスリランカから研修生が来日し、長野県の災害現場を視察するなど、現場レベルでの交流も活発です。富山県の「立山砂防」では、その歴史的価値から世界文化遺産登録を目指す動きもあり、日本の砂防はまさに文化と技術の両面で世界に誇るべき資産といえます。
しかし、輝かしい評価の裏側で、砂防を支える担い手の減少という深刻な課題も浮き彫りになっています。砂防学会が2019年に緊急声明を出すほど、産官学のあらゆる現場で人材不足が進行しており、将来の防災力が低下することへの危機感が募っています。私は、こうした「目立たないけれど欠かせない技術」こそ、次世代を担う若者が誇りを持って挑戦できる分野として、より正当な光を当てるべきだと強く感じてやみません。
地球規模の気候変動により、国内外で豪雨災害のリスクが高まっている今こそ、私たちは「SABO」の重要性を再認識する必要があります。世界中の人々の平穏な暮らしを守るために、日本の知恵と技術が果たす役割は今後さらに大きくなっていくでしょう。この素晴らしい技術を絶やすことなく、未来へ、そして世界へと繋いでいくための支援と関心の輪が広がることを心から願って止みません。
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