2019年10月01日の消費税率引き上げがいよいよ目前に迫り、マーケットでは消費者の財布の紐が固くなることを見越した「節約志向」への注目が急速に高まっています。生活者の防衛本能が働く中で、低価格帯のサービスや商品に強みを持つ小売企業の株価が、驚くほどの堅調さを見せているのです。増税後に物価への下押し圧力が強まる可能性がささやかれる中、賢い投資家たちはすでに次なる業績アップの波を虎視眈々と狙っているのでしょう。
特に目覚ましい躍進を遂げているのが、リサイクルショップを運営するトレジャー・ファクトリーです。同社の株価は2019年08月末と比較して17%も上昇しており、衣料品や生活家電の売れ行きが極めて好調に推移しています。2019年08月の既存店売上高が前年同月比で5.6%増を記録したことも、投資家の期待を後押しする大きな要因となりました。SNS上でも「中古品への抵抗が薄れ、賢くリユースを活用する時代が来た」といった前向きな声が目立っています。
リユース市場の盛り上がりは一過性のものではなく、ブックオフグループホールディングスも2019年08月末比で16%高と値を上げています。さらに「東京靴流通センター」を展開するチヨダも14%高を記録するなど、実需に基づいた銘柄への資金流入が止まりません。専門用語で言う「物色(ぶっしょく)」、つまり特定の条件に合う銘柄を選んで買い付ける動きが、この秋は明確に「節約」というキーワードに集約されていると言えるでしょう。
ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長は、増税後に予想される消費マインドの冷え込みに対し、強い「抵抗力」を持つ銘柄の選別が進んでいると分析しています。ここで言う「抵抗力」とは、景気が悪化しても需要が落ちにくい、あるいは逆に需要が増える耐性のことです。企業側も対応に追われており、増税分を価格に転嫁する決断を下すところもあれば、自社でコストを吸収して価格を据え置くことで顧客を繋ぎ止めようとする企業も現れています。
ある国内シンクタンクの見解によれば、一時的に物価が上昇したとしても、その後の反動による消費の落ち込みは避けられないとの予測が出ています。そうなれば、競合他社との差別化のために値下げを余儀なくされる企業も増えてくるはずです。私は、今回の増税が単なる負担増ではなく、企業の「本当の地力」を試すリトマス試験紙になると考えています。安さだけでなく、価格以上の価値を提供できる企業こそが、この荒波を乗り越えていくに違いありません。
コメント