【患者参加型医療がカギ】「私はあなたの何を知っておくべきですか?」患者の真の価値観に迫る対話術

医療従事者の方々は、日々の診療を通じて患者さんのことを深く理解しているとお考えでしょう。確かに、検査結果や病名、治療方針といった医学的な情報は把握されています。しかし、滋慶医療科学大学院大学教授の飛田伊都子さんは、その情報が**「患者さんのすべてではない」**と警鐘を鳴らしています。医療者が知っているのは、あくまで診療の一側面に過ぎないのです。

飛田教授がこの事実に気づかされたのは、手術後の予期せぬ事故でご主人を亡くされたカナダ人女性の言葉でした。この女性は、**「医療者は診療に必要な質問はたくさんするが、患者が医療者に知っておいてほしいことは尋ねてくれない」と語られたそうです。そして、医療者が患者への支援に迷った時、「私はあなたの何を知っておくべきですか」**と、率直に問いかけてほしいと助言してくださいました。看護師として病院での勤務経験がおありの飛田教授にとっても、この直接的な問いかけは、それまでの自身の経験を振り返り、胸に突き刺さるような重みのある言葉だったと述べられています。

なぜ、医療者からのこのような直接的な問いかけが不可欠なのでしょうか。それは、個人の基準や価値観は千差万別だからです。残念ながら、豊富な経験を持つ医療者ほど、「患者のことを分かっている」という思い込みから、ご自身の内にある基準や価値観で患者さんを捉えてしまいがちかもしれません。しかし、患者さん一人ひとりには、異なる願いや希望、そして**「重要視している価値観」が存在します。そして、その大切な価値観は、患者さんに直接尋ねることで初めて**知ることができるのです。

患者さんの価値観を深く理解することは、今後の治療やケアの方法を選択していく上で、極めて重要な要素となります。特に近年の医療現場では、病気や障害に対して、医師のみならず、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など、多くの専門職がチームとして連携し、対処することが求められています。さらに、治療の経験者である患者さん自身をチームの不可欠なメンバーとして迎え入れ、チーム内で情報を共有していく必要性が高まっています。

もはや医療は「医療者が提供し、患者さんが受けるもの」という一方的な概念ではありません。現在、私たちは**「患者さんと医療者が共に目標を設定し、医療を築き上げる」という、パラダイムシフト(枠組みの転換)の時代にいます。もし、患者さんと医療者の間で認識のズレ(乖離)が生じると、それは安全ではない医療につながるリスクをはらんでしまいます。例えば、患者さんが心から望まない延命治療を継続してしまうなど、倫理的にも問題のある事態を招きかねません。より安全で、患者さんの尊厳を尊重した医療を実現するためには、「患者参加型医療」**が不可欠であると、私は強く主張いたします。

この考え方に対するSNSでの反響も大きく、「医療者目線だけでなく、患者の気持ちに寄り添うことの大切さを改めて感じた」「『私はあなたの何を知っておくべきですか』という質問は、人間関係の基本でもある」といった共感の声や、「自分の主治医にもこの問いかけをしてほしい」という切実な願いも見受けられました。患者さんの真の価値観を知り、安全で質の高い医療を実現するための第一歩として、2019年6月17日のこの記事で提唱された、**「問いかけの重要性」**を医療現場全体で共有していくべきでしょう。

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