2019年9月27日、国税庁が発表した最新の「民間給与実態統計調査」の結果に、SNSやネット掲示板では驚きと不安の声が入り混じっています。調査によると、民間企業で働く人々が2018年の1年間に手にした平均給与は440万円に達しました。これは前年比で2%(約8万5千円)の増加となり、実に6年連続で右肩上がりの推移を見せています。リーマン・ショック直前の2007年に記録した437万円をようやく上回った形です。
給与の内訳を性別で見ると、男性の平均は545万円、女性は過去最高となる293万円を記録しました。この背景には、好調を維持してきた企業業績に加え、深刻な「人手不足」が影響していると考えられます。人手不足とは、企業が求める労働力に対して働く人が足りない状態を指し、人材を確保するために賃金を上げざるを得ない状況が続いています。しかし、ネット上では「本当に上がっているのか?」「実感がない」といった切実な声も目立ちます。
雇用の形態による格差は依然として深刻な課題です。2018年を通じて勤務した給与所得者は5026万人に上りますが、正規雇用者の平均給与が503万円であるのに対し、非正規雇用者は179万円に留まっています。その差は実に2.8倍に達しており、働く形態によって家計のゆとりに大きな隔たりがあるのが現状でしょう。SNSでは「非正規の賃金底上げが急務だ」という議論が活発に行われており、格差社会への危機感が募っています。
業種別の格差と揺らぐ景気の見通し
業種によって給与水準に大きな開きがある点も無視できません。最も高かったのは「電気・ガス・熱供給・水道」の759万円で、インフラ業界の安定感が際立つ結果となりました。一方で、最も低かったのは「宿泊・飲食サービス」の250万円に留まっており、業界ごとの収益構造の違いが年収に直結している様子が伺えます。生活を支えるエッセンシャルワーカーの待遇改善は、日本経済全体が抱える大きな宿題と言えるのではないでしょうか。
手放しで喜べないのは、今後の景気動向に暗雲が立ち込めているからです。現在は輸出の減少が続いており、海外からの需要である「外需」に陰りが見え始めています。また、仕事を探す人1人に対して何件の求人があるかを示す「有効求人倍率」は、依然として高い水準ではあるものの、3カ月連続で低下しています。これまで続いてきた給与の増加傾向が、今後も継続するかどうかは極めて不透明な状況にあると私は分析しています。
国税庁が1949年から継続しているこの調査において、過去最高額は1997年の467万円でした。今回の440万円という数字は回復の兆しを見せているものの、全盛期の水準にはまだ届いていません。企業は内部留保を溜め込むだけでなく、持続的な賃上げを通じて労働者に利益を還元すべきではないでしょうか。景気の冷え込みが懸念される今こそ、真に国民が豊かさを実感できる経済政策が求められていると強く感じます。
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