日中韓FTAへの期待と孔鉉佑駐日大使の「仲裁宣言」:2019年9月の東アジア外交の新展開

2019年09月28日、日中関係の新たな局面を予感させる重要なインタビューが行われました。中国の孔鉉佑駐日大使は、日本経済新聞の取材に対し、冷え込みが続く日韓関係について強い懸念を表明しています。大使は「我々にできることがあれば辞さない」と述べ、両国の橋渡し役を担う意欲を明確に示しました。この発言は単なる社交辞令ではなく、アジアの安定を求める切実な背景が透けて見えます。

2019年の現在、中国は日中韓首脳会談の議長国という大役を担っています。同年12月の開催を目指して調整を加速させていますが、日韓の対立が解消されなければ、会談の実現そのものが危ぶまれる事態になりかねません。SNS上では「中国が仲裁に入るのは意外だが、背に腹は代えられない状況なのだろう」といった驚きや、今後の東アジア情勢の推移を注視する声が数多く寄せられています。

中国がここまで日中韓の枠組みを重視する背景には、激化するアメリカとの貿易摩擦があります。米国第一主義を掲げるトランプ政権との対立が深まる中、中国は近隣諸国との経済連携を強化し、包囲網を突破したいと考えているのでしょう。ここで重要になるのが「FTA(自由貿易協定)」というキーワードです。これは関税などの障壁を取り除き、モノやサービスの流通を自由にする約束を指します。

孔大使は「これまで以上に日中韓FTAの協議を重視する」と断言しました。減速傾向にある自国経済を下支えするためにも、域内の通商ネットワーク再構築は中国にとって喫緊の課題といえます。しかし、現実のハードルは決して低くありません。日韓関係の溝は深く、両国がすぐに手を取り合って自由貿易の旗を振るような機運は、今のところ十分に高まっているとは言い難いのが実情です。

また、日本側の立場も複雑です。2019年9月、日本は米国との貿易協定締結に合意したばかりであり、このタイミングで中国に急接近することは、同盟国である米国を刺激するリスクを孕んでいます。個人的な見解を述べれば、経済的な合理性と政治的な同盟関係の板挟みこそが、現在の日本外交が直面している最大のジレンマであり、孔大使の提案をそのまま受け入れるのは容易ではないでしょう。

中国の王毅外相もかつて仲裁の意向を示しましたが、具体的な解決策はまだ提示されていません。中国が目論む「第5の政治文書」の検討や習近平国家主席の来春の訪日に向けて、日中韓がどこまで歩み寄れるかが焦点となります。アジアのパワーバランスが激動する今、中国主導の融和策が功を奏すのか、それとも現状維持にとどまるのか、私たちは歴史の分岐点に立ち会っているのかもしれません。

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