2023年に予定されているキャンパス移転に向け、京都市立芸術大学の学生たちが心温まるプロジェクトを始動させました。舞台となったのは、京都市下京区に位置し、2010年3月末(2009年度末)に惜しまれつつも閉校した旧京都市立崇仁小学校の校舎です。2019年9月中旬、この歴史ある学び舎を舞台に、学生たちによる独創的な絵画や彫刻が並ぶ作品展が開催されました。
この取り組みは、西京区から同地区への移転を控えた学生たちによる「引っ越し前のご挨拶」という意味が込められています。長年地域に愛されてきた校舎が2020年3月に取り壊されるのを前に、自分たちの芸術活動を通じて住民の方々と交流を図る姿は、まさにアートによる地域融和の第一歩と言えるでしょう。SNS上でも「母校に新しい息吹が吹き込まれて嬉しい」「芸大が来ると街の雰囲気が変わりそう」といった期待の声が寄せられています。
消えゆく校舎の記憶を刻む!若きアーティストたちの感性と「銅版画」の魅力
出展者の一人である版画専攻4年の中森碧さんは、かつてこの場所で笑い、泣いた子どもたちの日常を「銅版画」という技法で表現しました。銅版画とは、銅の板に溝を作り、そこにインクを詰めて紙に刷り上げる技法で、繊細な線や独特の質感が特徴です。中森さんは、黒板の落書きや涙を流す子どもの姿など、10センチ四方の小さな世界に20枚の物語を込めました。現地を丁寧に下見し、かつての風景を想像しながら描かれた作品には、確かな体温が宿っています。
また、ビジュアルデザイン専攻4年の麻生あおいさんは、近隣住民だけでなく、まだこの地を訪れたことがない学友たちにも足を運んでほしいと呼びかけています。古き良き校舎が消えゆく寂しさはありますが、そこに新しい芸術の種が蒔かれる様子は、京都の文化がアップデートされる瞬間に立ち会っているようなワクワク感を与えてくれます。地域の記憶を大切にしながら未来を創る彼らの姿勢は、非常に誠実で素晴らしいものだと感じます。
次回の大きなイベントとして、2020年2月8日から2020年2月11日にかけて、旧崇仁小学校や周辺の喫茶店、市営施設を会場とした大規模な作品展が予定されています。校舎の解体という「終わり」を、芸術という「始まり」へと繋げるこの試みは、地域再生のモデルケースとなるはずです。伝統ある京都市立芸術大学が、京都の玄関口に近いこの地でどのような化学反応を起こすのか、今後の展開から目が離せません。
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