国内の賃貸住宅市場に、今まさに大きな変革の波が押し寄せています。業界最大手の大東建託株式会社は、2019年10月から「CLT(直交集成板)」という画期的な木質系材料を全面的に採用した新ブランド「フォルターブ」の展開を開始します。まずは都市部の単身者向けに1Kや1DKの間取りから提供を始め、年間100棟の受注を目指すという非常に意欲的な計画です。将来的にはファミリー向け物件への拡大も視野に入れており、数年内には年間300棟体制を構築する構えを見せています。
ここで注目すべき「CLT」とは、木の板を層ごとに繊維の方向が直角に交わるように積み重ねて接着した高性能なパネル材料のことです。この特殊な構造により、従来の木材に比べて反りやひずみが少なく、驚くべきことに鉄筋コンクリート(RC)造に匹敵するほどの強度を誇ります。それでいて重量は鉄筋コンクリートよりもはるかに軽く、まさに「軽くて強い」という建築界の理想を体現したハイテク素材と言えるでしょう。SNS上でも「木造で4階建ても可能なのか」「木の香りがする家は憧れる」といった期待の声が数多く寄せられています。
驚異の工期50%カット!現場の負担を劇的に減らす軽量化のメリット
CLT工法がもたらす最大の衝撃は、その圧倒的な施工スピードにあります。従来の鉄筋コンクリート造であれば完成までに約8ヶ月を要していた規模の物件が、この新工法を採用することで、なんと半分の4ヶ月で完成してしまいます。この劇的な短縮を可能にしているのは、建物の自重が従来比で約4割も軽量化された点にあります。建物が軽ければ地盤への負担が減るため、基礎工事で打ち込む杭の数を減らしたり、作業工程そのものを大幅に簡略化したりすることが可能になるのです。
さらに、主要な構造部をあらかじめ工場で組み立ててから現場に搬入する「プレハブ化」の恩恵も見逃せません。現場での柱の組み立て作業などは、これまでの工法に比べて最大で6分の1もの時間で完了すると試算されています。これは単なるスピードアップに留まらず、建設業界が直面している深刻な職人不足という課題に対する、一つの明確な回答になるでしょう。夏場の過酷な屋外作業時間を減らすことで、現場で働く方々の健康を守り、施工業者がより多くの案件を無理なく引き受けられる好循環が生まれるはずです。
私自身の見解としても、この工期短縮は単なるコストカット以上の社会的意義があると感じています。工事期間が短くなるということは、それだけ近隣住民の方々が騒音や工事車両の往来に悩まされる期間が減ることを意味します。都市部での建設はとかくトラブルの種になりやすいものですが、周辺環境への負荷を最小限に抑える姿勢は、これからの企業にとって不可欠なブランディング要素となるに違いありません。住民に優しい建設の形が、ここからスタンダードになっていくことを期待しています。
オーナーの収益性も向上!「木の温もり」が生む高い資産価値
物件オーナーにとっても、2019年9月30日現在の発表内容によれば、新ブランド「フォルターブ」は非常に魅力的な投資対象となります。平均受注額は1億1000万円から1億2000万円ほどを見込んでいますが、工期短縮と人件費の抑制によって、従来の物件よりも利益率が約3ポイント改善される見通しです。早く完成すればそれだけ賃料収入が発生する時期も早まるため、ローン返済などの資金計画におけるオーナーの不安を大きく払拭してくれる材料となるでしょう。
入居者にとっても、CLT物件は「住み心地」という面で大きな付加価値を持っています。共有スペースの廊下や室内の壁の一部には、CLT特有の美しい木目がそのまま露出するデザインが採用されており、都会にいながらにして自然の温もりを肌で感じることができます。デジタル化が進む現代だからこそ、本物の木の質感に包まれる生活は、入居者の心に安らぎを与え、長期入居を促す強力なフックとなるに違いありません。大東建託のこの挑戦は、賃貸住宅を単なる「箱」から「価値ある空間」へと進化させる重要な一歩となるでしょう。
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