日産自動車は2019年6月17日、横浜工場(横浜市)において、官民ファンドであるINCJ(旧産業革新機構)の支援を受け、ベンチャー企業(スタートアップ)の技術展示会を共催いたしました。これは2018年に続く2回目の開催となり、今回は日産とINCJがそれぞれ推薦する将来性豊かなスタートアップ7社が参加し、日産の技術者たちに向けて、自動車製造の生産現場へ応用できる革新的な技術を紹介しています。
展示された技術の中には、例えば、物体を立体的に計測する「3次元測定器」や、作業者の負担を軽減する「アシストスーツ」などが含まれており、すでに日産との具体的な協業事例も披露されました。今回の展示会では、INCJの投資先企業から4社、そして日産が独自に選定した3社が参加しており、事前に工場側のニーズを徹底的に調査し、スタートアップ側からの協業提案も踏まえて、企業が厳選されているのです。
このような「現場主導型」のマッチングは、国内でも**「先駆け事例だ」とINCJが評価するほど、画期的な取り組みでしょう。日産は、この取り組みを通じて、2019年度内には選定された技術を実際の生産現場で試験的に導入(トライアル)し、その成功事例を社内で共有することで、協業の範囲を段階的に拡大していく方針を定めています。私は、この「現場発」で新しい技術を取り入れる姿勢こそ、日本の製造業が今、まさに必要としている変革のドライバーだと感じています。
すでに具体的な成果も生まれ始めています。たとえば、測定装置を開発する光コム(東京・千代田)が提供する3次元形状測定技術は、すでに日産の多目的車に搭載される高性能エンジンの部品検査で活用されています。これは、非接触で対象物の立体的な形を非常に精密に測る技術であり、品質管理のスピードと精度を格段に向上させるものです。さらに、廃水処理技術を持つハルボホールディングス(東京・千代田)の凝集剤も、同年6月に横浜工場での汚水処理に採用されることが決定するなど、着実に現場への導入が進んでいることがわかります。
INCJの志賀俊之会長は、今回の展示会に際し「自動車産業は変革期にあり、オープンイノベーションを通じて従来型のカイゼン(改善)の枠組みを飛び越えていく必要がある」と述べています。この「オープンイノベーション」とは、自社のリソースだけでなく、他社や外部組織が持つ技術やアイデアを積極的に取り入れて、革新を生み出そうとする考え方であり、まさに日産の取り組みがこれに合致していると言えるでしょう。従来の地道な「改善」だけでは対応できないスピードと変化が求められる現代において、スタートアップの持つ柔軟性と先端技術は、自動車メーカーにとって不可欠な要素となりつつあります。
今回の展示会がSNSで報じられると、「自社の未来のために外部の力を借りるという姿勢が良い」「大企業が現場のニーズで技術を導入するのは素晴らしい試み」**といった、前向きな反響が多く見られました。特に、現場の技術者たちが直接スタートアップの提案に触れ、導入を決めるというプロセスが、組織の硬直化を防ぎ、新しい技術を根付かせるための鍵になると、多くの人が期待している様子がうかがえます。
日産は、こうした国内の取り組みだけでなく、グローバルな視点からもイノベーションを加速させています。2018年1月には、仏ルノーなどと共同でベンチャー企業への投資ファンド「アライアンス・ベンチャーズ」を立ち上げており、最大10億ドル(当時の為替で約1100億円)を投じる計画です。このファンドを通じて、世界中の有望なスタートアップとの協力関係を築き、次世代のモビリティとものづくりをリードしていく考えでしょう。
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