世界的な経済の不透明感が漂う中、2019年10月02日現在の日本株式市場には、まだ知られざる上昇の余地が残されているようです。ティー・ロウ・プライス・ジャパンの取締役であるアーシバルド・シガネール氏は、直近1年間の日本株の動きを「出遅れ」と分析しています。世界景気が減速する局面では、日本市場が売られやすいのは一種の典型的なパターンと言えるでしょう。
景気の底打ちを正確に予測することは容易ではありませんが、米国経済が急激に失速する「ハードランディング」さえ避けられれば、日本企業の成長は期待できそうです。シガネール氏は、上場企業の1株利益が1桁台後半の成長を遂げると予測しています。SNS上でも「日本株は割安すぎるのではないか」という声が散見されており、投資家の間では慎重ながらも期待感がじわじわと高まっている印象を受けます。
ここで重要な指標となるのが「PER(株価収益率)」です。これは株価が1株あたりの純利益の何倍まで買われているかを示す尺度で、企業の稼ぐ力に対して株価が妥当かを判断する材料になります。東証株価指数(TOPIX)の過去の平均的なPERは14倍程度でした。現在の利益予想から計算すると、フェアバリュー(適正価格)は今よりも1割ほど高い水準にあるため、現在は「お買い得」な状態にあると判断できるでしょう。
米中摩擦を逆手に取る?日本企業が握るハイテク供給網の鍵
投資家が最も懸念している米中貿易摩擦についても、シガネール氏はリスクと好機の両面を見出しています。確かに設備投資の停滞は懸念材料ですが、市場はすでに最悪の事態を織り込み始めています。実際に、5月以降の相場下落局面では、キーエンスなどの優良銘柄が売られすぎたと判断し、保有を増やす動きも見られました。こうした逆張り的な発想は、プロの視点ならではの鋭さを感じさせます。
特に注目すべきは、ハイテク分野における「供給網(サプライチェーン)」の変容です。米国が中国を排除したネットワーク構築を急ぐ一方で、中国も自国産業への投資を加速させています。世界が二つの陣営に分かれる中、中立的な立場を維持できる日本企業には、両方の陣営から需要を取り込むチャンスが巡ってくるはずです。特に、半導体製造装置や高機能な化学素材を手がける企業には、大きな投資妙味があるでしょう。
また、国内に目を向ければ「働き方改革」が強力な投資テーマとして浮上しています。深刻な人手不足を背景に、企業の生産性を向上させるITサービスやDX関連への投資は、もはや避けては通れない道です。編集部としても、単なるスローガンに留まらず、実利を生むソリューションを持つ企業への選別投資は、2019年下半期の戦略として非常に理にかなっていると考えます。
2019年10月01日から施行された消費税増税についても、2014年の時ほど悲観する必要はないでしょう。増税幅が抑えられていることに加え、政府による手厚い経済対策が下支えとなるからです。増税の影響を受けにくい業態を冷静に見極め、少しずつ買い増していく姿勢こそが、今の変動の激しい相場を勝ち抜くための知恵と言えるのではないでしょうか。
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