日本の全企業のうち、実に99.7%を占める中小企業の存在。日本経済の屋台骨である彼らが抱える「人手不足」や「生産性向上」という課題に対し、今まさに「IoT(モノのインターネット)」が切り札として注目を集めています。2019年10月02日現在、これまでハードルが高いと思われていた先端技術を、誰でも手軽に扱える仕組みへと変える革新的な動きが広がっているのです。
IoTとは、身の回りのあらゆるモノをインターネットに繋ぎ、データを収集・活用する仕組みを指します。従来、こうしたシステムは莫大な初期投資が必要な「大企業の特権」というイメージが強くありました。しかし、最近ではスマートフォンアプリや月額課金制の「サブスクリプション」モデルを活用し、資金力に限りのある中小企業でも導入しやすい土壌が整いつつあります。
建設現場を変えるコマツの「スマート・コンストラクション」
建設業界の常識を覆しているのが、大手メーカーのコマツです。彼らが2015年から推進している「スマート・コンストラクション(通称:スマコン)」は、ドローンによる測量や建機の自動操縦を駆使して現場をスマート化します。特筆すべきは、これまで熟練の技術が必要だった「丁張り」という土掘りの目安を作る作業を不要にし、初心者でもプロ並みの精度で施工を可能にした点でしょう。
SNS上では「現場のデジタル化は安全性の向上にも直結する」と期待の声が上がる一方で、伝統的な手法を重んじる零細企業の多さも指摘されています。これに対しコマツは、単なる機械販売に留まらず、アプリを通じた工程管理や、電話一本で悩みを解決できるサポート体制を構築しました。メーカーから「施工支援サービス会社」へと脱皮を図る姿勢には、中小企業への並々ならぬ歩み寄りを感じます。
「既製服」感覚で始めるアムニモの低価格IoT戦略
もう一つ、2019年06月からサービスを開始した注目の存在が「アムニモ」です。親会社である横河電機が、特定の顧客に合わせた「オーダーメイド」のシステムを得意とするのに対し、アムニモはあえて「既製服」のような汎用性を追求しています。必要な通信機器を月額1300円という驚きの低価格で提供し、組み立てや設定をユーザー自身に任せることで、圧倒的なコストダウンを実現しました。
彼らが提案する「レシピ」と呼ばれる活用例は、どれも実用的です。例えば、ホテルのリネン室でシーツの重さを測り、在庫が減れば自動で発注するシステム。あるいは、学校や病院で二酸化炭素濃度を監視し、空気の汚れをスマホへ通知する仕組みなどです。これらは「エンドポイントデバイス」と呼ばれる小型通信機を介して、クラウド上で誰でも簡単にデータ管理ができるよう設計されています。
編集者が見る「中小企業×IT」の未来
2018年版の中小企業白書によれば、IT導入を阻む最大の壁は「コスト」と「使いこなせる人材の不在」でした。しかし、アムニモが提唱する「自分で組み立てる家具」のような手軽さは、まさにその壁を壊すものです。高度な技術をあえてパッケージ化し、ユーザーに運用の自由度を委ねるこの手法は、ITアレルギーを持つ経営者にとっても極めて現実的な選択肢になるはずです。
個人的には、こうしたBtoB(企業間取引)プラットフォーマーの台頭こそが、日本経済の「真の底上げ」を担うと確信しています。大企業が技術を独占するのではなく、安価で使い勝手の良いツールとして開放することで、全国の隅々にまでデジタル化の恩恵が行き渡ります。中小企業が最新技術という「武器」を手にする日は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。
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