🚀【独自支援】ベンチャーキャピタル新潮流!中長期戦略と二人三脚で挑むスタートアップ成長戦略:2019年6月

2010年代に入ってから、日本国内では独立系ベンチャーキャピタル(VC)の設立が相次ぎ、活発な動きを見せています。これらのVCには、大手VCや事業会社での経験を持つ優秀な人材が多く参画しており、その運用規模は大手には及ばないものの、独自の投資戦略や「きめ細やかな支援」を最大の武器として、スタートアップ市場での存在感を高めているのです。特に、創業間もない企業の成功確率を最大化するための、起業家との緊密な連携が注目されています。

その一つ、ジェネシア・ベンチャーズ(東京・港)の田島聡一社長は、自社の強みを「投資を決める前に、成長のための中長期戦略を起業家と一緒に考えている」点だと語っていらっしゃいます。通常、VCは「デューデリジェンス」と呼ばれる詳細な事業調査を実施し、投資の可否を判断します。デューデリジェンスとは、投資対象となる企業の財務状況や事業内容、法務リスクなどを徹底的に調べ上げること。ジェネシアでは、この調査を単に点数付けで終わらせるのではなく、起業家と膝を突き合わせて事業成功の鍵や、次の段階での資金調達に必要な要素を具体的に洗い出す作業を重視しています。これは、創業初期の「シード」と呼ばれる段階の起業家が、ファイナンスの知識不足から資金繰りに行き詰まり、次の調達が困難になるケースが多い、という問題意識からきています。

サイバーエージェントのVC出身である田島氏は、これまでのネット事業への豊富な投資経験を生かし、既存産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に注力しています。ジェネシアは創業から約2年9カ月(2019年6月時点)と歴史は浅いものの、すでに日本と東南アジアの57社に投資し、第2号ファンドの運用規模は約80億円を見込む急成長ぶりです。従業員も設立当初の2名から8名に増員されています。

特に最近では、投資先の企業文化の構築支援に力を入れている点が特筆されます。スタートアップ業界では人材不足が深刻ですが、田島氏は「採用してもビジョンや大切にする価値観が曖昧だと、人材が定着しない」と指摘しています。この課題に対応するため、同社は事業会社で人事の専門職として働いていた社員を採用し、そのノウハウを投資先に惜しみなく提供しています。さらに、投資先を招いて毎月、成長戦略や広報などの実務的な勉強会を開催するなど、ハンズオン(実践的な関与)での支援体制を強化しているのです。

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多様な個性が生み出す独自の投資戦略

一方、iSGSインベストメントワークス(東京・港)は、投資先63社のうち16社が女性起業家という、特徴的なポートフォリオを形成しています。3人の代表パートナーのうち、佐藤真希子氏もサイバーエージェント出身、五嶋一人氏はディー・エ・ヌ・エーで投資とM&A(企業の合併・買収)の責任者を務めた経験をお持ちです。あえて女性起業家を優遇しているわけではない、としながらも、五嶋氏は「女性向けサービスには巨大な市場があり、投資機会が多い。設計に女性の目線を生かすことで成功確率も高くなる」と、市場の潜在力を強調しています。

同社が運用する25億円規模の第1号ファンドでは、LINEに買収されたGatebox(東京・千代田)など、投資先の約6分の1をすでに売却という形で成功に導いています。投資後の支援では、実務面への貢献を重視しており、人材マネジメントや事業撤退の経験が豊富な五嶋氏に加え、株主である化粧品情報サイト運営のアイスタイル出身のパートナーも在籍しています。また、自身の会社上場経験を活かし、新規株式公開(IPO)の準備書類作成までサポートするなど、極めて実戦的な支援を展開しているのが魅力です。

W ventures(ダブリューベンチャーズ、東京・渋谷)もまた、注目すべき存在です。ミクシィでスタートアップ投資を担った新和博氏と、グロービス・キャピタル・パートナーズ出身の東明宏氏が設立し、2019年3月末に50億円のファンドを組成されました。このファンドは資金提供を全額ミクシィが行っていますが、投資の意思決定は完全に独立している点が特徴です。近年、VCファンドの大型化が進む中で、創業間もないシードやアーリーの段階、つまりサービスがまだ完成しておらず見極めが難しい初期段階に特化して投資するファンドは、必ずしも多くは増えていない状況です。

しかし、東氏らはグロービス時代に料理動画サービスのエブリーへの投資を手掛けるなど、消費者向けサービスに深い知見を持っています。「新たなネット企業を育てることに力を入れたい」と、日本の未来を担うスタートアップの育成に強い意欲を示しています。リスクマネーの総量が増えることに加えて、これらの中小VCのように多様な個性を持ち、独自の専門性や深い関与を持つファンドが増えることは、日本のスタートアップエコシステムが持続的に成長していく上で不可欠な要素である、と私は考えます。

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