🔥消費増税を商機に変える!ビッグ・エーが貫く「ケチケチ経営」の深層と驚異の販管費率15%以下への挑戦【ディスカウントストア】

2019年10月に予定されている消費税増税は、小売業界にとって消費意欲の減退という大きな危機感をもたらしています。しかし、この局面を成長のチャンスと捉え、果敢に突き進む企業があるのをご存じでしょうか。それが、関東地方に約230店舗のディスカウントストア(DS)を展開するビッグ・エーです。「良い品をどんどん安く」というダイエー創業者の故・中内功氏から受け継いだDNAを忠実に守り、「徹底的にインフラを作りローコスト経営を追求する」という教えを今も実践。その結果、なんと30期連続で営業黒字を達成しているのです。今回、長きにわたり低価格を支えるビッグ・エーの驚くべき**「ケチケチ大作戦」の現場に迫ります。

消費増税が目前に迫る中、ビッグ・エーでは、増税前に起こる「まとめ買い」、すなわち仮需**(かりじゅ:一時的な需要)をしっかりと取り込む戦略を立てています。例えば、2019年6月14日午前の板橋大山店(東京・板橋)には、年金支給日ということもあり、普段より多くの買い物客、特に60代以上の高齢者が集まり、他店よりも安価な商品を求めていました。この日は特に、トイレットペーパーや洗剤などが通常よりも1~2割安く山積みにされ、増税前の需要を取り込む意気込みが感じられます。

ビッグ・エーの三浦弘社長は、増税の影響はすでに現れ始めていると感じています。前回の2014年4月の増税時には、百貨店や総合スーパー(GMS)は仮需で大きく売り上げを伸ばしましたが、増税後は激しい買い控えの反動減に見舞われました。一方、ディスカウントストアは仮需の伸びもさることながら、反動減が3%以下にとどまり、低価格の強さを証明しました。今回10月の増税では、この経験則を踏まえ、消費者が実際にまとめ買いを始めるタイミングを見計らって商品を投入する計画です。具体的には、増税の約3カ月前にあたる7月20日前後を一つの重要な山場と捉え、前回この時期に売れ行きが伸び始めた紙おむつ、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの紙類を強化するようです。そして、8月には洗剤やシャンプー、9月には歯磨き粉といったオーラルケア用品が続き、さらには秋冬向け商品の投入時期も探る戦略が練られています。

そして、もう一つ消費が盛り上がる重要な機会として捉えているのが年金支給日です。年金支給日は、普段より少し贅沢なステーキやウナギの蒲焼きなどが売れる「ハレの日」でもあります。特に、2019年8月15日の年金支給日は、増税前最後のタイミングとなるため、その重要度はいつも以上に高まると予測されるでしょう。こうした機会を逃さず、安さと品質を兼ね備えた**プライベートブランド(PB)**の商品を約400品目も揃え、顧客の信頼を得るために委託先の工場を開示している点も特筆に値します。この透明性の高さこそが、「安かろう悪かろう」というディスカウントストアのネガティブな印象を払拭し、安くても高品質な商品を提供できる源泉になっているのではないでしょうか。駆け込み需要で来店したお客様を、そのままヘビーユーザーへと育て上げるという、計算し尽くされた戦略が見て取れます。

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驚愕のローコスト経営!「コンマ数秒」を削る徹底した現場改善

ビッグ・エーが**「地域最安値」を掲げ、増税を大きなビジネスチャンスとできる背景には、徹底的なローコスト経営があります。これを実現するのが、売上高に対する販管費率**(はっかんひりつ:販売費および一般管理費の売上高に占める割合)を現在の17~18%から、さらに驚異的な15%以下へと引き下げるという目標です。販管費とは、商品の販売にかかる費用(人件費や広告宣伝費、物流費など)や、会社の運営にかかる費用を指します。この割合を下げることは、すなわち「無駄を極限まで削る」ことを意味するのです。

その「ケチケチ大作戦」の最新の例が、現場で導入された画期的なバーコードの貼り方です。ある店舗では、女性従業員が慣れた手つきでテキパキとレジ打ちをしていますが、食品保存ラップのような細長い商品には、通常1カ所のバーコードが360度4カ所に貼られていました。これは、従業員がラップのバーコードを探すのに要する**「コンマ数秒」のロスをなくすための工夫で、三浦社長は「コンマ数秒でも、それが1万点となれば大変な時間のロスとなる」と語ります。また、売れ残った野菜の棚に新しい商品を並べる際、これまで従業員が手書きしていた産地表示シールの印字を、本社で47都道府県を選んでラベルに印字する方式に切り替えるなど、従業員の重労働を軽減する改善も進められています。これらのアイデアは、コンビニエンスストアの2倍ほどの平均330平方メートルの売り場を、たった2~3人で回し、約2500品目を扱うという少ない人員で効率運営を目指すビッグ・エーならではの発想でしょう。

さらに、お菓子や飲料などの一部商品には、納品時の段ボールにシェルフレディパッケージと呼ばれる事前に切れ目が付いている箱を採用しています。これは、カッターを使わずに安全かつ素早く段ボールを開封できるというもので、ドイツのアルディやリドル、米国のウォルマートといった世界の有力ディスカウントストアも採用する仕組みです。物流センターを軸とした効率的な出店戦略**と合わせて、このような一連の無駄を徹底的に排除する姿勢が、ビッグ・エーの揺るぎない低価格を支えていると言えるでしょう。

イオン傘下で広がるDS事業への期待

ビッグ・エーは、2019年2月に親会社が創業時のダイエーからイオンに変わったことも、今後の成長を考える上で非常に重要なポイントです。イオンの岡田元也社長は、ドイツのディスカウントストア大手であるアルディやリドルを頻繁に視察しており、日本での新たな成長戦略の一つとしてDS事業に大きな期待を寄せています。イオンは、ビッグ・エーのほかにもイオンビッグやアコレを傘下に持ち、2017年末に公表した中期経営計画では、DS事業を1兆円超に拡大させるという壮大な構想を打ち出しました。しかし、現状のDS事業の売り上げ規模は約4千億円にとどまっており、ビッグ・エーを含めた各社の成長が不可欠な状況にあります。

イオンはこれまで、郊外を中心とした大型の総合スーパー(GMS)の出店が多かったのですが、近年は高齢化や消費者のニーズの多様化に対応するため、都市型や小型スーパーにも注力しています。その代表例が、2005年の1号店出店以来、東京23区内を網羅するように店舗網を拡大し、2019年2月時点で765店にまで成長したまいばすけっとです。バブル崩壊、消費増税、東日本大震災など、消費マインドが冷え込みかねない状況下でも、品質を維持しつつ「低価格」にこだわり、顧客視点での運営で営業黒字を継続してきたビッグ・エーは、DS事業を強化したい岡田社長から一定の評価を得ているようです。

ビッグ・エーがイオン傘下という新たなステージで成長を続けるためには、これまで培ってきた創意工夫の精神と、ローコスト経営を追求する現場の自由度を、いかに保ち続けるかにかかっていると私は考えます。徹底したムダの排除と、時代の変化を捉えた販売戦略を愚直に貫くビッグ・エーの姿勢は、私たち消費者にとっても心強く、今後もその動向から目が離せません。

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