退職金は「一時金」が正解?手取り額で差がつく老後資金の賢い受け取り方と税金の落とし穴

2019年10月02日、秋の気配が深まる夜のひととき、ある家庭では「老後のお金」を巡る熱い議論が交わされていました。最近、テレビや雑誌で「老後2,000万円問題」が話題になるなど、定年後の資金計画への関心はかつてないほど高まっています。特に多くの人を悩ませているのが、長年勤め上げた証である「退職金」をどのように受け取るべきかという選択です。

退職金の受け取り方は、大きく分けて「一時金(一括)」と「年金方式(分割)」、そしてその両方を組み合わせる「併用方式」の3種類があります。2018年の調査によれば、国内企業の約72%が併用方式を採用しており、労働者には選択の自由が与えられています。一見すると、会社が運用を継続してくれる年金方式の方が、受取総額が増えてお得に見えますが、実はここに落とし穴が隠されているのです。

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額面と手取りの逆転現象!税金と社会保険料の衝撃

SNS上でも「額面は増えるのに手取りが減るなんて納得いかない」という驚きの声が散見されますが、その理由は日本の税制と社会保険制度にあります。例えば、1,800万円の退職金を全額一時金で受け取る場合と、10年間の年金で受け取る場合を比較してみましょう。額面では運用益が出る年金方式の方が約190万円多くなりますが、最終的な「手取り額」では一時金の方が100万円以上も多くなる逆転現象が起こるのです。

この差を生む最大の要因は「退職所得控除」です。これは長年の勤務を労うための税制上の優遇措置で、38年勤務すれば2,060万円まで非課税となります。一方、年金形式で受け取ると「雑所得」扱いとなり、公的年金等控除という非課税枠はあるものの、他の収入と合算されるため税率が上がりやすくなります。さらに、年金受給者は国民健康保険料や介護保険料の負担も増えるため、手元に残るお金は目減りしてしまいます。

iDeCo活用と賢い出口戦略のススメ

最近注目を集める「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」も、実は退職金と同じ仕組みで課税されます。iDeCoは自分で作る年金制度ですが、受け取り時には退職所得控除や公的年金等控除の枠を退職金と共有することになります。そのため、退職金で非課税枠を使い切ってしまう場合は、iDeCoを年金形式で受け取って公的年金等控除の枠を活用するなど、緻密な「出口戦略」が不可欠と言えるでしょう。

ただし、目先の手取り額だけに囚われるのも危険です。一時金で大金が手に入ると、気が大きくなって豪華な海外旅行や不慣れな投資で資産を溶かしてしまう「退職金バブル」に陥る人も少なくありません。老後は想像以上に長く、資金を枯渇させない計画性が求められます。まずはご自身の会社の規定を確認し、税金や保険料のシミュレーションを行った上で、自分たちのライフスタイルに最適な選択をすることが、安心なセカンドライフへの第一歩となるはずです。

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