👔紳士服の常識を変えた革命児:ツープライスのパイオニア「ザ・スーパースーツストア」が20年の歴史に幕!オンリー日比谷店の軌跡とオーダースーツへの転換戦略

長きにわたり日本の紳士服業界に革命をもたらした、株式会社オンリーの主力店舗である日比谷店(東京都千代田区)が、2019年8月18日をもってその歴史に幕を閉じることが明らかになりました。この日比谷店は、1999年の開業当時「ザ・スーパースーツストア」という名称で、わずか2種類の価格帯のみでスーツを販売するという画期的なビジネスモデル「ツープライスショップ」の先駆けとして知られています。それまでの紳士服市場は、価格設定が複雑で不透明な部分が多く、消費者にとっては「高い」「分かりにくい」といった不満が渦巻いていました。しかし、このツープライス業態は、明快さと手頃な価格を実現し、多くの消費者からの絶大な支持を集めたのです。

画期的なビジネスモデルを確立した日比谷店ですが、開業から20年という節目の年を迎えるにあたり、閉店が決定いたしました。背景には、働き方の変化に伴う紳士服需要の低迷や、同業他社との競争激化といった厳しい市場環境が存在します。閉店後の顧客対応につきましては、2019年1月にオープンした近隣の有楽町店が引き継ぐ体制となっており、今後は有楽町店が新たな旗艦店として位置づけられる予定です。オンリーは、日比谷店の閉店に際し、2019年6月17日から閉店日までの期間、特別に店名を当時の「ザ・スーパースーツストア」に戻して営業する復刻企画を実施中です。

この復刻営業では、店内のすべての紳士服を、当時の価格であった1万9千円と2万8千円の2プライスで提供するそうです。また、ネクタイなどの雑貨類も20%割引で販売されるとのことで、これは「かつて同店を支えてくださったお客様へ、感謝の気持ちを伝えたい」という、オンリーの強い思いが込められた企画に違いありません。この突然の閉店と復刻営業のニュースに対し、SNS上では「社会人になりたての頃、ここで初めてスーツを買った」「ツープライスは本当に画期的だった」といった、かつての顧客からの懐かしむ声や、店舗への感謝を伝えるコメントが多く見受けられました。「閉店前にもう一度あの店に行きたい」と、駆け込み需要を予感させる投稿も目立っており、日比谷店が多くの人々の記憶に残る存在であったことが分かります。

スポンサーリンク

ツープライスが起こした紳士服市場の価格破壊と時代の変化

日比谷店が開業した1990年代後半当時、一般的なスーツは1着あたり4万~5万円が相場であり、同じ売り場に並ぶ商品の価格がバラバラに設定されている状況でした。消費者からすると、なぜこの値段なのかという原価と売価の整合性、つまり価格の妥当性に対する疑問が生じやすく、これが「スーツは高い」「値付けが不透明だ」という不満につながっていたのです。しかし、オンリーはここにメスを入れ、価格設定を2種類のみと極限までシンプルにした上に、従来の相場を大きく下回る半値以下の価格を実現しました。この「分かりやすさ」と「手頃な価格」は、消費者の潜在的な需要を掘り起こすことに成功し、その後の「ツープライス」という新しいビジネス業態を不動のものとしたのです。

このオンリーの成功を受け、紳士服業界の大手企業も追随しました。青山商事の「ザ・スーツ・カンパニー」や、はるやま商事の「P.S.FA(パーフェクトスーツファクトリー)」など、多くの競合他社が次々とツープライスの店舗を展開し、一時は紳士服市場における一つの大きな潮流となりました。しかし、2000年代の半ば頃から、地球温暖化対策の一環として夏の軽装が推奨される「クールビズ」が社会に浸透し始めました。これにより、ビジネスマンのスーツ着用機会が減少し、紳士服市場全体の需要が低迷する厳しい状況に陥ります。さらに、同業態の競争激化も重なり、かつて一世を風靡したツープライス業態は、徐々にビジネスモデルとしての限界に直面しつつあると言えるでしょう。

オーダーシフトで活路を見出すオンリーの新たなビジネスモデル

このような市場の変化に対応するため、オンリーは戦略の軸足を移しています。現在、同社は従来の既成品の販売に加え、顧客の体型や好みに合わせて仕立てる「オーダースーツ」の分野に、特に力を入れている最中です。価格戦略についても、単なる安売りやセールを前提とした設定ではなく、常に「値ごろ感」を打ち出す、という姿勢を大切にしています。たとえば、2着で3万8千円から仕立てられる「ミニマルオーダー」といった主力商品が、オーダースーツ事業の売り上げを牽引しており、現在では全体の30%強を占めるまでに成長しているのです。

このように、ツープライス以外の分野での成長が確実に見込める状況になったことが、今回の日比谷店閉鎖という決断の背景にあると考えられます。私見となりますが、オンリーは流行を生み出した企業として、市場の飽和や時代の変化に対して、迅速かつ大胆に対応することで、新たな価値を提供し続けようとしているのでしょう。今後は、有楽町店を新たな戦略拠点として、既製品のツープライス売り場を設けつつ、オーダースーツ専用の採寸スペースも確保する計画です。加えて、インターネット通販への対応も強化しており、顧客の自宅と店舗を連携させる「Eテーラーラボ」という新しい試みも開始しました。オンリーは、時代のニーズに合わせてビジネスモデルを変革させることで、厳しい競争を生き抜き、さらなる成長を目指しているものと推察いたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました