🔥逆境をバネに!林業家・後藤国利が語る「何くそ」の精神と製薬会社V字回復の裏側【人間発見】

2019年6月18日付で掲載された記事は、製薬会社をV字回復させ、現在は林業家として活躍する後藤国利さんの半生を深く掘り下げています。この物語は、若き日に直面した数々の試練を「何くそ(なにくそ)」という不屈の精神で乗り越えてきた、一人の傑出した経営者の軌跡を描いているのです。

後藤さんの人生の転機は、大学3年生のときに訪れました。祖父が開発した解熱鎮痛薬「後藤散」で財を築いた実家の製薬会社が、父の代で経営が傾き、保有山林の不正経理の立て直しを彼が任されることになったのです。一橋大学の学生でありながら、製材所など関係各所を奔走し、不正を調査しましたが、失われた資金を取り戻すことはかないませんでした。このときの悔しさから、「もう二度と盗まれるものか」と、立ち木にペンキで番号を付けたり、ワイヤで結び鍵をかけたりと、文字通り必死の抵抗を試みたといいます。

しかし災難は続きました。大学4年のとき、実家が保有する約50ヘクタールの山林のうち、実に約30ヘクタールが山火事によって焼失してしまったのです。特にショックだったのは、当時の皇太子、つまり現在の上皇さまのご成婚記念として植林し、ようやく育ってきた木々が一晩で灰燼に帰したことでした。想像を絶するような出来事でしたが、後藤さんは落胆している暇などないと考え、「何くそ、素晴らしい山にしてやる」という執念を燃やし続けました。これを機に、生産効率の良い森作りを目指し、苗木の選定方法や植え付け方を猛烈に学びます。この「何くそ」という強烈な反骨心こそが、その後の人生を貫く指針となったのでしょう。

大学卒業後、後藤さんは林業を続けるつもりはなく、将来の社長を目指して三菱重工業へ就職し、神戸造船所で2年間の研修を受けました。ところが、いよいよ東京で本格的にキャリアを築こうとしていた矢先、実家の製薬会社が経営難に陥ったという知らせが飛び込んできたのです。血気盛んな若者だった彼も、残念ではありましたが、家業を立て直すため迷わず辞職し、帰郷を決意しました。そして翌日から製薬会社の社長として出勤することになったのです。

当時の日本はテレビの草創期で、コマーシャル(CM)によって商品が売れる時代へと変化し始めていました。代々続く「後藤散」という薬の名前は「古くさい」とも言われましたが、後藤さんはそのレガシーを逆手に取り、「古いからこそ安心できる」というイメージ戦略で勝負しようと決断されます。しかしテレビCMを打つほどの資金は持ち合わせていません。そこで考え付いたのが、レトロな雰囲気あふれる看板を大量に制作し、目につきやすい民家の塀などに掲示してもらうという、アナログながらも非常に斬新な手法でした。

全社員が地元の九州地方をくまなく回り、ひたすら頭を下げて設置を依頼し、お礼としてタオル1枚と後藤散のサンプルを渡したそうです。この地道な努力が実を結び、売り上げがわずかに回復したところで、その資金を元手にテレビCMを制作しました。「後藤さん、後藤さん、後藤散ちょうだいな」と子どもが薬をねだる内容が人気を博し、同時に行われたサンプルの戸別配布も功を奏し、業績は見事なV字回復を果たしました。まさに、逆境の中で培われた持ち前の負けん気と、人を巻き込む熱意がもたらした奇跡的な成果だと言えるでしょう。

長年にわたり強い思い入れを持っていた製薬会社でしたが、約40年後の2010年、時代の変化を捉えた判断から売却することを決めました。インターネットでの大衆薬販売を先駆けていた長男の玄利さんから、「おやじ、この会社は相当まともな経営をしないと生き残れないよ」と進言されたことがきっかけです。従業員22名全員が売却先の会社に引き取ってもらえたこともあり、「今思えば万々歳」、長男の判断は正しかったと振り返っています。この一件からも、後藤さんが冷静かつ合理的な経営判断を下せる人物であることがうかがえます。

製薬会社売却後、後藤さんは再び原点である林業に立ち返り、山火事から復興させた山林を舞台に、理想的な森林作りへの意欲を燃やし続けているのです。彼の人生は、林業家、製薬会社の経営者という異なる分野で逆境に立ち向かい、「何くそ」の精神で次々と壁を打ち破ってきたことに他なりません。この強烈な個性と不屈のチャレンジ精神こそが、読者に最も強く響く魅力でしょう。

この記事が報じられた当時、後藤さんの山林での試練や、製薬会社での創意工夫に満ちたV字回復のエピソードは、SNSなどでも大きな反響を呼んでいるはずです。特に、「何くそ、素晴らしい山にしてやる」という言葉や、テレビCMの制作資金がない中でレトロ看板を大量設置するというレトロフューチャーな戦略には、「逆転の発想が素晴らしい」「不屈の精神に感動した」といった共感の声が多く寄せられているでしょう。この波乱万丈の物語は、多くの人にとって人生の困難を乗り越える勇気を与えてくれるに違いありません。

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