2019年6月18日、日本のバレエ界から非常に大きなニュースが飛び込んできました。長きにわたり世界の舞台で輝き続けてきたプリマ・バレリーナ、吉田都さんが、同年8月7日と8日に東京・渋谷の新国立劇場で行われる公演「Last Dance」をもって、現役を引退することを正式に表明されたのです。英国の至宝と称されるロイヤル・バレエ団で長年、最高位であるプリンシパルを務め、2010年に退団された後も国内外の様々な舞台で観客を魅了し続けた彼女の決断は、多くのファンに驚きと惜しむ声をもって受け止められています。この報道に対し、SNSでは「信じられない」「まだ踊る姿を見ていたかった」といった声があふれる一方で、「長年の活躍に感謝しかない」「新国立劇場の監督として新たな歴史を作ってほしい」と、彼女の功績を称え、次なるステップへの期待を示すコメントも多数見受けられました。
今回の引退の最大の理由として、吉田さんご自身が2020年秋に予定されている新国立劇場の舞踊芸術監督への就任を挙げられていることが注目されます。これは事実上、日本の国立バレエ団のトップとして采配を振るうという重責を担うことを意味します。1965年生まれの吉田さんと同じ世代のダンサーの中には、芸術監督の職務と現役の踊りを両立させている方も少なくありません。しかし、彼女は「自分のエネルギーと時間のすべてを、これまで踊ることに捧げてきた。だから、その両立は私にはできない」と語り、新監督の役割に専念する強い決意をにじませているのです。この言葉からは、彼女の妥協を許さない真摯なバレエへの姿勢と、日本のバレエ界を牽引していくという使命感が伝わってくるように感じられます。
長年のキャリアの集大成となる舞台へ
吉田さんは、欧米の舞台で大柄で華やかなルックスと超絶的なテクニックを競い合うダンサーが主流だった時代に、その清潔感と正確無比な技術、そして何よりも品格のある優雅な踊りで、独自の芸術世界を確立しました。そのスタイルは世界中のバレエファンや関係者から深い尊敬を集めています。引退公演では、彼女が長年得意としてきたレパートリーが披露される予定です。英国ロイヤル・バレエ団をはじめ、東京の主要な6つのバレエ団から、団体の枠を超えて集まった豪華なダンサーたちが参加し、吉田さんの功績を祝うと共に、その偉大な芸術を未来へ踊り継いでいくことでしょう。
吉田さん自身が踊るのは、フレデリック・アシュトン版の「シンデレラ」や、ピーター・ライト版の「白鳥の湖」の一部など、クラシックバレエの名作からの抜粋です。加えて、今回の公演では、英国バレエの巨匠である振付家フレデリック・アシュトンによる作品「誕生日の贈り物」に、なんと初挑戦されるという点が大きな見どころの一つになっています。「誕生日の贈り物」は、お祝いムードに満ちた祝祭感あふれる作品であり、引退公演に参加する他のプリマ・バレリーナたちとの共演も予定されています。この作品をもって、彼女の「35年間のバレエ人生の集大成」となる舞台は、感動的なフィナーレを迎えるに違いありません。この歴史的な公演は、一人の偉大なバレリーナの節目であるとともに、日本のバレエ界にとっても忘れられない日となるでしょう。
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