🚀株主還元時代へ! 企業利益の7割が株主へ戻る「株式資本主義」の到来とFRBの金融政策の進化

世界経済を牽引する先進国の金融のあり方が、いま、劇的に変化していることをご存知でしょうか。かつて、金融は潤沢な家計貯蓄を企業への投資へと橋渡しする、いわば「貸し手と借り手の仲介役」が主たる役割でした。しかし、現代の企業は多くが豊富なキャッシュ(手元資金)を保有しており、この伝統的な役割はすでにその役目を終えつつあると言えるでしょう。これに取って代わり、金融が新たに担うことになった主要な任務とは、企業が生み出した利益を株主へと還流させることです。

この変化を最も象徴的に示しているのが米国企業です。例えば、2018年のデータを見ると、米国の非金融企業が生み出した税引き後の利益は1兆906億ドルにも上りました。この巨額の利益のうち、配当として株主に支払われたのが2419億ドル、そして自社株買いに充てられたのが5135億ドルです。合計すると7554億ドルとなり、これは利益全体の約69%にも達します。一方で、企業が外部から借り入れた額はわずか1878億ドルに過ぎません。企業が利益を還元する主要なルートは、もはや融資ではなく、株式を通じたものとなっており、金融市場における株式の存在感が圧倒的に高まっているのです。

このような状況は、資本主義の新たなフェーズ、すなわち「株式資本主義」の本格的な到来を告げていると、私は考えています。企業が稼いだ利益を、設備投資や新規事業よりも、株主への還元に重点を置く姿勢は、短期的な株価上昇に繋がる反面、長期的なイノベーションや成長の芽を摘んでしまうのではないかという懸念も一部のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では見受けられます。しかし、株主の利益を最大限に追求するというコーポレート・ガバナンスの考え方が浸透する中、この流れは今後も加速していくと予想されます。

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FRBの役割変遷:金利政策から「QE」へ

金融の主役が株式へと移る中で、中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)の担う役割も大きく変わってきました。FRBの使命は、法律で定められた物価の安定と雇用の最大化を達成することであり、これを信用総量(世の中に出回るお金の量)のコントロールによって実現します。かつては、金利政策、具体的には政策金利の上げ下げを通じて、銀行の融資量を調整することが主流でした。

しかし、現代における信用創造、すなわち経済活動に必要なお金が生み出される主要な経路は、銀行融資よりも、株式や不動産といった資産の価格上昇が担う割合が大きくなっています。資産価格が上昇すれば、人々の資産が増えたと感じ(資産効果)、消費や投資が活発化するためです。したがって、FRBにとって、資産価格に直接的な影響力を行使する政策、すなわち巨額のマネー(資金)を市場に供給する量的緩和(QE:Quantitative Easing)が不可欠な政策手段となっているのです。

FRBのパウエル議長が、かつては「非伝統的」とされてきたQEという言葉をやめるべきだと主張し、QEをFRBの日常的な政策手段の一つに加えた背景には、まさにこのような金融構造の劇的な変化があるのでしょう。QEを「最適な資産価格をターゲットとする新しい金融レジーム」と捉えるならば、これは中央銀行の役割が大きく進化し、より直接的に市場の機微に作用するようになったことを示しています。

「量的緩和」とは、具体的には、中央銀行が市場から国債などの資産を買い入れることで、世の中に出回るお金の量を増やし、金利を低下させたり、資産価格を押し上げたりする政策です。これは、リーマンショック後の金融危機対応でその存在感を高めました。今後の経済が困難な状況に陥った際、従来の政策手段である利下げの余地が少ないために、FRBが「政策的に手詰まりになる」のではないかという懸念がこれまでもありました。しかし、QEという強力な手段がいつでも駆使できる状況になったことで、今後の金融政策の展望は大いに開けてきたと言えるのではないでしょうか。

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