2019年10月に予定されている消費税率の引き上げを目前に控え、北海道内の百貨店業界が熱を帯びています。日本百貨店協会が発表したデータによると、2019年8月の道内百貨店売上高は125億9600万円を記録し、前年同月比で0.2%の微増となりました。記録的な猛暑によって外出を控える動きが見られたものの、増税前の「駆け込み需要」がそのマイナス分を補う形となっています。
SNS上では「今のうちに高い化粧品を買っておかなきゃ」「増税前にデパコスを新調した」といった投稿が目立っており、消費者の防衛本能が如実に表れているようです。特に後半戦の追い上げが凄まじく、厳しい暑さを乗り越えて店舗へ足を運ぶ買い物客の姿が多く見られました。今回の売上増は、まさに消費者の「今のうちに」という心理が反映された結果と言えるでしょう。
好調を維持する主要各店と戦略的な催事の成功
店舗別の詳細を見ると、大丸札幌店は2019年8月の売上高が51億円に達し、前年比1.0%増と堅調な数字を残しました。月の前半こそ真夏日の影響で客足が鈍ったものの、後半に入ると化粧品などの高単価商品を中心に需要が急増しています。ここで言う「駆け込み需要」とは、税率が上がる前に高額商品や消耗品をまとめ買いする消費行動を指しており、百貨店にとっては大きな商機となりました。
また、東急百貨店札幌店では「買い回り効果」が如実に表れ、3.3%の増収を達成しています。これは、東急ハンズの催事期間を延長したことで、お客様が複数のフロアを巡る流れが生まれたためです。一方、函館エリアでは2019年1月末に閉店した「棒二森屋」からの顧客流入が続いており、丸井今井函館店が14.9%増という驚異的な伸びを見せました。お盆期間の和菓子需要も重なり、地域密着型の強みが発揮されています。
二極化する明暗と今後の百貨店経営への視点
一方で、すべての店舗が恩恵を受けたわけではありません。札幌丸井三越は前年の大型催事との時期のズレが響き、2.2%の減少となりました。帯広の藤丸もブランド催事の苦戦により10.0%減と厳しい状況に置かれています。催事とは、特定のテーマに沿って期間限定で開催される特別展示販売のことですが、その成否がこれほどまでに全体の数字を左右するという事実は、現在の百貨店経営がいかにイベント性に依存しているかを物語っています。
編集者の視点から言えば、今回の結果は単なる増税前の特需に過ぎないという危惧もあります。増税後の反動減は避けられず、催事という「一過性のイベント」だけで顧客を繋ぎ止めるのは限界があるでしょう。いかに日常的な付加価値を提供し、ネットショッピングにはない「店舗での体験」を演出できるかが、令和の百貨店が生き残るための真の鍵となるはずです。
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