モータースポーツの世界に、今、新しい風が吹き抜けています。日産自動車は2018年末から、電気自動車(EV)の最高峰レース「フォーミュラE」に日本メーカーとして初めて参戦を果たしました。2019年現在、シーズン5を迎えているこの大会には、BMWをはじめとする欧州の強力なライバルたちが名を連ねています。日産のブランド戦略を担うルー・ドゥ・ブリース専務執行役員は、この過酷な舞台でEVの真価を証明し、次世代の市販車開発にその成果を還元したいと熱く語っています。
日産といえば、世界累計販売台数40万台を超える「リーフ」を筆頭に、EV分野で確かな実績を積み上げてきました。しかし、技術革新のスピードは凄まじく、常に他社と競い合いながら自らの設計思想を磨き続ける必要があります。そのため、最先端の知見が集結するフォーミュラEは、単なるレースの枠を超えた「技術の見本市」として極めて重要な意義を持っているのです。SNS上でも「日産の技術力が世界に認められる瞬間を見たい」といった期待の声が多く寄せられています。
市街地を駆け抜ける「走る実験室」の衝撃
フォーミュラEが従来のレースと一線を画すのは、その開発環境が極めて市販車に近い点にあります。レースは主に市街地の特設コースで開催され、バッテリーの仕様などに厳格な制限が設けられています。これにより、いかに効率よくエネルギーを使い切り、航続距離やパワーを引き出すかという「効率」の技術が徹底的に磨かれます。まさに、私たちが普段街中で乗るEVの性能を向上させるための、究極の試験場といえるでしょう。
こうした挑戦は、着実に結果として結実しています。2019年3月に初の表彰台を飾ると、同年7月14日にアメリカのニューヨークで開催された第12戦において、ついに念願の初優勝を成し遂げました。モータースポーツ部門を率いるマイケル・カルカモ氏は、この勝利が優れたパッケージの開発に寄与するだけでなく、未来の電気自動車全体の進化を加速させるだろうと、確信に満ちた表情で展望を述べています。
再び高まるモータースポーツへの情熱
かつて、自動車は若者の「憧れ」の象徴でしたが、近年は価値観の多様化により、その存在感は変化しつつあります。JAFが発行する競技運転者許可証の数は、1992年の8万613件をピークに減少を続け、2012年には約半数の4万2070件まで落ち込みました。しかし、2018年には前年比1.7%増の4万6245件を記録し、6年連続で増加傾向にあります。これは、テクノロジーの進化が再び人々の心を捉え始めている証拠ではないでしょうか。
私は、こうしたEVレースでの活躍こそが、今の時代における新しい「格好良さ」を定義すると考えています。環境への配慮と圧倒的な加速性能を両立させる姿は、かつてのエンジン音に熱狂した時代とは異なる、知的でエキサイティングな興奮を私たちに与えてくれます。2019年10月25日から一般公開される東京モーターショーでは、スポーツ車の試乗体験も予定されており、各社の躍進がファン獲得の強力な「エンジン」となることが期待されます。
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