投資のプロたちがこぞって熱視線を送る不動産投資信託(REIT)市場が、かつてないほどの熱気に包まれています。2019年10月12日現在、東証REIT指数は年初から25%を超える驚異的な上昇を記録しました。特筆すべきは、国内の生命保険・損害保険会社による買越額です。2003年の統計開始以来、過去最高となる635億円に達しており、まさに「歴史的な買い越し」の局面を迎えているといえるでしょう。
ここで注目したいのが「REIT(リート)」という仕組みです。これは多くの投資家から集めた資金でオフィスビルやマンションなどの不動産を購入し、そこから得られる賃料収入などを配当として投資家に分配する金融商品です。SNS上でも「マイナス金利時代において、数パーセントの利回りが期待できるREITは最後の砦だ」といった声が上がっており、安定した収益を求めるマネーが濁流のように流れ込んでいます。
「買わざるを得ない」機関投資家の本音と過熱感
これほどの買いが進む背景には、運用のプロたちが直面している苦悩が見え隠れします。米国の長期金利急低下を受け、これまで主力だった外国債券での運用が難しくなりました。大手生保の関係者が「割高感は承知の上だが、他に行き場がない」と漏らすように、消去法的にREITが選ばれている側面は否定できません。リスクを承知で突き進むこの状況は、市場が一種の「飽和状態」に近いことを示唆しています。
さらに、海外投資家の動きも2019年9月に入って急激に加速しました。日本のREITが世界的な株価指数の基準に組み入れられるとの期待から、買いが買いを呼ぶ連鎖が起きています。2019年9月10日に発表された都心5区のオフィス空室率は過去最低水準を更新しており、ファンダメンタルズ(経済の基礎条件)の良さが投資家心理を強力に後押ししているのは間違いありません。
シェアオフィス市場への懸念と「逆回転」のリスク
しかし、光が強ければ影もまた濃くなるものです。足元では、オフィス需要を牽引してきた「シェアオフィス」事業への不透明感が漂い始めました。米ウィーカンパニーの上場延期を機に、急拡大してきたビジネスモデルそのものに疑問符が投げかけられています。東京23区でもコワーキングスペースの供給は急増しており、この成長に急ブレーキがかかれば、利益確定売りが一気に噴出する「高所恐怖症」の状態にあります。
私自身の見解としては、現在のREIT市場は「期待値の過剰先取り」が行き過ぎていると感じます。主要なオフィス銘柄では、5年後に5割以上の増配を織り込んだ価格設定も見受けられます。賃料上昇は魅力的ですが、実体経済を置き去りにしたマネーゲームに変質するリスクを孕んでいます。投資家が「全員参加」で買い向かっている今こそ、冷静にポートフォリオを見直すべき時期なのではないでしょうか。
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