2019年5月のビール系飲料の販売量がまとまり、ビール大手4社の結果から、プライベートブランド(PB)を含む市場全体は前年同月比で2%減少したことが判明しました。日本中が新元号「令和」への改元や、異例の10連休となったゴールデンウィーク(大型連休)の祝賀ムードに包まれ、「ビール消費が大幅に伸びるのでは」という大きな期待が寄せられていたのですが、残念ながら全体的な盛り上がりには欠ける結果となってしまいました。
各社の結果を詳しく見てみましょう。アサヒビールのビール系飲料は5%減となり、特にビールと発泡酒に限れば8%の減少です。キリンビールもビール系飲料全体で1%のマイナス、うちビールは3%減という状況で、サッポロビールも2%減という結果になりました。このように主要各社が苦戦するなかで、唯一、販売量を伸ばしたのはサントリービールです。同社のビール系飲料は全体で1%の増加を達成しており、その好調ぶりは際立っています。
令和最初のGWでビールはなぜ伸びなかったのか?
今回の販売量データには、日本が新しい時代を迎えた直後の消費動向を示すものとして、注目が集まっています。特に長期間の連休がありながら、消費が伸び悩んだ背景には、レジャーや旅行への支出が増え、自宅での飲酒機会が相対的に減少した可能性も考えられます。また、SNSでも「GWは旅行で外食が多かった」「ビールよりチューハイやワインを飲む機会が増えた」といった声が見受けられ、消費者の飲酒行動が多様化していることが示唆されています。
この消費低迷の状況下で、サントリービールが唯一販売量をプラスにできた要因は、同社のプレミアムビール「ザ・プレミアム・モルツ」の好調にあります。「ザ・プレミアム・モルツ」、通称「プレモル」は、高級感のあるパッケージと深いコク、そして華やかな香りが特徴のビールで、消費者が「ちょっと贅沢をしたい」と考える瞬間に選ばれる傾向が強い商品です。ビール市場全体が縮小傾向にある中でも、付加価値の高いプレミアムビールは根強い人気を誇っており、この商品力が販売増に大きく貢献したと言えるでしょう。
私見ではありますが、今回の結果は、単に「ビールが売れなかった」という以上に、消費者が「飲むもの」を選ぶ基準が、単なる価格や量ではなく、「特別な体験」や「品質」へとシフトしていることを示しているのではないでしょうか。プレミアムビールのような高付加価値を持つ商品が市場の逆風に耐え、伸びを維持している事実は、今後の酒類市場の動向を占ううえで非常に重要なポイントになるでしょう。
今後、ビール各社は、消費者の「令和」という新しい時代に合った消費意識の変化をどう捉え、いかに新しい価値や体験を提供できるかが、ビール市場での競争を勝ち抜く鍵となりそうです。
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