政府は2019年6月18日、2019年度版「子ども・若者白書」を閣議決定いたしました。この白書では、初めて「ひきこもり」の状態にある方々について大規模な特集が組まれ、特に40歳から64歳の中高年層の推計人数が61万3千人にも上るという衝撃的なデータが示されました。これは、従来「ひきこもり」は若者の問題として捉えられがちだった社会の認識を大きく覆すものでしょう。また、15歳から39歳の就業していない、通学していない、さらに求職活動もしていない「ニート」を含む若年無業者数は、2018年時点で約71万人と、前年調査とほぼ変わらない水準で推移していることが確認されています。
内閣府が定める「ひきこもり」の定義とは、単に家に閉じこもっている状態だけを指すのではありません。具体的には、仕事や学校へ行かず、趣味の用事など以外では外出しない状態が6カ月以上続いている場合とされています。この定義に基づき、2018年12月7日から24日にかけて、全国の男女5千人を無作為に抽出する訪問調査が実施されました。その結果、「ひきこもり」の状態になってから7年以上という長期にわたる方が全体の約5割近くを占め、中には「30年以上」という方も6.4パーセントいることが明らかになりました。この事実は、問題の根深さと、長期化への対策が急務であることを痛感させます。
ひきこもり状態となるきっかけで最も多かったのは「退職」であり、次いで「人間関係」、そして「病気」が続く結果となりました。これは、キャリアの中断や、社会とのつながりの喪失が、中高年層にとって大きな壁となっている可能性を示唆しています。さらに、ひきこもりになった時の年齢を見ると、60歳から64歳が17パーセントで最多でしたが、25歳から29歳も14.9パーセントと、特定の年齢層に極端な偏りがないことも特筆すべきでしょう。これは、「ひきこもり」が人生のあらゆる段階で起こり得る、現代社会の普遍的な課題であることを浮き彫りにしています。
この白書が報じられた直後、SNS上でも大きな反響を呼びました。特に中高年のひきこもり61万人という数字に対して、「衝撃的だ」「氷山の一角ではないか」「社会全体でこの問題に取り組むべきだ」といった声が数多く見受けられます。また、「退職がきっかけ」というデータに対しては、「リストラや定年後の孤立は他人事ではない」と、自身の将来への不安と重ね合わせる意見も散見されました。この問題は、当事者やその家族だけの問題ではなく、全世代に関わる社会的な課題として、多くの国民の関心を集めているのです。
「子ども・若者白書」では、日本の若者の「自己肯定感」の低さにも焦点が当てられました。「自分自身に満足している」と回答した日本の若者は45.1パーセントに留まり、米国の87パーセント、韓国の73.5パーセントと比較して著しく低い水準です。「自分には長所がある」と答えた日本の若者も62.3パーセントで、ドイツや米国では9割を超えているのとは対照的です。さらに、「ボランティア活動に興味がある」と回答した日本の若者は33.3パーセントと、調査対象国の中で最も低い結果となりました。
これらのデータは、日本の若者が自らの価値や将来に対して、他国の若者に比べて自信を持てていない現状を示していると言えるでしょう。自己肯定感の低さは、社会との積極的な関わりを妨げ、結果として、若年層のひきこもりや無業者を増加させる一因となり得る懸念があります。私見ですが、自己肯定感は、他者との健全な人間関係や、社会での役割を実感することで培われるものです。学校教育だけでなく、地域社会や家庭においても、若者が成功体験を積み、自らの存在意義を感じられるような機会を増やすことが重要ではないでしょうか。
今回の白書が示した「中高年ひきこもり」の実態と、「若者の自己肯定感の低さ」という二つの深刻な課題は、現代の日本社会が抱える構造的な問題を映し出しているように考えられます。高齢化が進む日本において、中高年層が社会から孤立することは、経済的な損失だけでなく、社会全体の活力を失うことにも繋がります。今こそ、ひきこもり状態にある方々を支援するだけでなく、誰もが安心して働ける環境、そして再チャレンジが可能な社会の仕組みを構築することが、私たちの責務だと感じています。
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