神奈川県川崎市の経済界に、新たな歴史の1ページが刻まれようとしています。川崎商工会議所は、次期会頭として川崎信用金庫の会長を務める草壁悟朗氏(66歳)を昇格させる方針を固めました。2019年11月1日に開催予定の臨時議員総会にて正式な承認を経て、同日付で新体制がスタートする見通しです。
今回の人事が大きな注目を集めている理由は、川崎信用金庫の出身者が会頭に就くのが同会議所の歴史において初めてだからでしょう。これまでは重厚長大な産業を支える大手企業が中心となってきましたが、地元の金融機関からトップが選出されるという決断は、地域密着型の経済振興をより一層加速させるという強い意志の表れだと私は感じます。
伝統の変遷と「若返り」への期待
これまでの川崎商工会議所は、1940年の創立から2010年までの長い間、東芝グループや旧日本鋼管(現JFEスチール)といった大手企業の出身者がリーダーシップを発揮してきました。しかし、産業構造の劇的な変化に伴い、地元経済における巨大企業の在り方も変容しています。直近では、中小企業支援のスペシャリストである山田長満氏が3期9年にわたり舵取りを担ってきました。
今回の交代劇は、72歳の山田氏から66歳の草壁氏へバトンを渡すことで、組織の「若返り」を図る狙いがあるようです。SNS上でも「地元密着の信金出身者がトップになるのは心強い」「地域経済のリアルな課題を解決してほしい」といった、新しい風を期待する声が数多く寄せられています。
草壁氏は2011年から2019年6月まで川崎信用金庫の理事長を務め、勘定系システム(銀行の根幹をなす預金や為替の処理システム)の全面刷新など、徹底した合理化を推し進めた実績を持ちます。IT化が進む現代において、こうした実務的な手腕は、商工会議所が推進する中小企業のデジタル化支援においても大きな武器になるはずです。
事業承継という重要課題に挑む
草壁氏は2019年3月に副会頭に就任して以来、商工会議所と連携しながら「事業承継」の支援に注力してきました。事業承継とは、後継者不足に悩む企業が技術や雇用を次世代へ引き継ぐための極めて重要なプロセスです。金融のプロフェッショナルとして、企業の財務状況と地域特性の両面からアプローチできる同氏の手腕には、期待せざるを得ません。
私個人の意見としては、これまでの「大手企業主導」から「地域金融・中小企業支援主導」へと軸足が移ることで、川崎の街の個性がより際立つ経済圏が形成されるのではないかと考えています。2019年10月16日というこの節目のニュースは、単なる人事異動を超えて、川崎の産業がより柔軟で強固なものへと進化する前兆と言えるでしょう。
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