アメリカのドナルド・トランプ大統領(73歳)は2019年6月18日、南部フロリダ州オーランドで開かれた大規模な選挙集会にて、2020年11月に控える大統領選挙への出馬を正式に表明しました。集まった支持者を前に、「アメリカを偉大なままにし、決して失望させることはありません」と力強く宣言しました。副大統領候補には、現職のマイク・ペンス氏(60歳)が再び指名される見通しで、これでホワイトハウス奪還を目指す野党・民主党との選挙戦が本格的な幕開けとなる見込みです。
トランプ氏の演説は、米東部時間6月18日午後8時すぎ(日本時間では19日午前9時すぎ)から約1時間20分にわたり行われました。トランプ大統領は、政権発足以来の成果として、株価の上昇や、過去に例を見ないほどの失業率の低下といった経済実績を列挙しました。「アメリカ経済は今や世界の羨望の的です。私たちはわずか2年半で、他のどの大統領も成し遂げられなかった実績を達成しました」と、自らの功績を誇らしげに語る様子は印象的でした。
さらにトランプ大統領は「アメリカを引き続き偉大な国にする。再び尊敬される国になります」と重ねて訴え、そのために掲げてきた「アメリカ第一主義(America First)」の政策を、今後も推進する方針を強調なさいました。具体的には、中国などの国々との貿易不均衡の是正や、移民排斥などの政策がそれにあたります。特に中国に対しては「アメリカから雇用や富を奪う時代は終わったのです」と厳しい姿勢を示すとともに、再開を表明した貿易協議についても、「公平で良い合意を望んでいますが、そうでなければ、合意は一切しないでしょう」と、強気の姿勢を崩さない構えを見せています。
また、過去の大統領選におけるロシアの介入疑惑については、「共謀や捜査妨害は一切なかった」と改めて潔白を主張されました。「私ほどロシアに厳しく対処してきた大統領はいない」とも述べ、疑惑追及を続ける民主党を「この国を破壊しようとしている」と強く非難なさいました。さらに、民主党内の一部から提唱されている国民皆保険の実現といった考え方については、「極端な社会主義」であると指摘し、「アメリカは断じて社会主義国家にはなりません」と断言しました。ちなみに、国民皆保険とは、国が定めた公的な医療保険制度に、すべての国民が加入することを義務づける仕組みのことですが、アメリカではこれを社会主義的な施策ととらえる議論が存在します。
トランプ大統領は、「アメリカをこれまでで最も素晴らしい国にする。それこそが、2期目の大統領選への出馬を宣言する理由です」と述べ、選挙戦の新たなスローガンとして「Keep America Great(アメリカを偉大なままに)」を使用することを表明なさいました。この日の選挙集会には、メラニア夫人をはじめとするご家族や、ペンス副大統領も出席し、トランプ氏への強い支持をアピールしました。
この出馬表明と、その後の演説の内容は、すぐにSNS上でも大きな反響を呼びました。支持者からは、「経済実績は明白。KAG(Keep America Great)を応援する!」「トランプ氏のリーダーシップこそ、今のアメリカに必要なものです」といった熱烈な賛同の声が多く見受けられました。一方で、民主党支持者などからは、「彼は分断を深めているだけだ」「社会主義というレッテル貼りは不当だ」といった批判的な意見も多数投稿され、改めてアメリカ国内の政治的な対立の深さが浮き彫りになる形になったと言えるでしょう。この激しい反響こそが、トランプ氏という政治家が持つ影響力の大きさを物語っています。
野党・民主党の動きと、鍵を握る激戦州フロリダ
トランプ大統領の再選に向けて、共和党内では東部マサチューセッツ州元知事のビル・ウェルド氏(73歳)が現職に挑戦する意向を示していますが、共和党支持層におけるトランプ氏の支持率は9割前後と極めて高い水準を維持しており、トランプ氏優位の状況に変わりはないとみられます。一方、トランプ氏に挑む民主党側では、これまでに計23名もの候補者が名乗りを上げており、この数の多さが、政権交代への強い意欲を示しているといえます。
民主党全国委員会が主催するテレビ討論会は、いよいよ今月末からスタートする予定です。初回の討論会は、6月26日と27日の2日間にわたり、今回の出馬表明の地でもあるフロリダ州マイアミで開催されます。フロリダ州は、2020年の大統領選挙の結果を大きく左右する**激戦州(スイング・ステート)**の一つとして知られており、共和・民主の両党が非常に重視していることが分かります。
ちなみに、前回の2016年大統領選では、トランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン候補をわずか1.3ポイント差で破っています。激戦州とは、特定政党の支持層が固まっておらず、選挙のたびに勝者が変わる可能性がある州を指します。アメリカABCテレビの報道によれば、トランプ陣営が3月に実施した内部調査では、トランプ氏は民主党候補指名争いのトップを走るジョー・バイデン前副大統領に、フロリダ州内で7ポイント差でリードを許しているという結果も出ており、再選に向けてフロリダ州を固めることが喫緊の課題であることが見えてくるでしょう。
政治経験なしに不動産王から大統領へと駆け上がったトランプ氏の再選への挑戦は、共和党の主流派から一線を画した「異端の候補」として初当選を果たした時と同様、アメリカ国内のみならず、世界中から注目を集めることでしょう。この再選出馬表明によって、2020年へ向けた選挙戦は一気に熱を帯びていくに違いありません。
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