🤣ハナモゲラ語の魅力と深層🤣 💡言葉の壁を超えたリズムと音の芸術性:短歌、俳句、ジャズが融合する世界

1970年代の半ばから1980年代にかけて、日本で一大ブームを巻き起こした**「ハナモゲラ語」をご存じでしょうか。これは、意味の通じる単語ではなく、発音の響きやリズム、そしてオノマトペと呼ばれる擬音語や擬態語だけを組み合わせる、極めてユニークな言葉遊びのことです。その起源は、著名なジャズピアニストである山下洋輔さんの周辺で流行したスラングだと言われています。そして、この独特な言葉のスタイルが日本の伝統的な詩歌、短歌の形式と結びついたものが「ハナモゲラ和歌」として多くの人々に親しまれるようになりました。

当時の私はすでに短歌の道を歩み始めていましたが、このハナモゲラ和歌が持つ、枕詞のような造語や音だけで成立する表現力に、まさに衝撃を受けたものです。たとえば、作家の糸井重里さんが「山の美しさ」をテーマに詠んだとされる歌、「なだらそう きよひにきらり しらきぬの ひとひらひらにみどりたちまち」。また、山下洋輔さんの「ひいらぎの かほりやまめて せせらぎる どぜうてふてふくましかこりす」といった作品は、意味は不明瞭であるにもかかわらず、その情景や感動をこれほどまでに表現した歌があっただろうかと、大げさでなく感嘆させられました。

さらに、短歌の師匠である岡井隆先生の著書を通して、このハナモゲラ和歌の「元祖」とも言える歌を「再発見」することになります。それは、タレントの大橋巨泉さんが1969年(昭和44年)に万年筆のコマーシャルで披露し、子どもたちの間でまで大流行したフレーズ、「みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれすぎかきすらのはっぱふみふみ」です。岡井先生は、このフレーズを「『みじかびの』はすぐに『短い』を、『きゃぷりきとれば』は『キャップをとれば』に通ずる」と分析し、この歌は、短歌という詩型が持つリズムや音韻**(言葉の音の響き)と意味との伝統的な本質を、図らずも示しているのではないかと論じています。

大橋巨泉さんには、早稲田大学時代に持っていた俳号、つまり俳句の別名からくる俳句のリズム感があったことでしょう。また、ジャズ評論家としてデビューした背景もあり、ジャズミュージシャンたちが使う、隠語のような言葉遊びや、洒落っ気(しゃれっけ)とリズムの感覚を兼ね備えていたに違いありません。この視点から考えると、ハナモゲラ語は単なる「ふざけた言葉」ではなく、詩歌における言葉の音と、ジャズが持つ即興性とリズム感が見事に融合した、一種の現代芸術だと評価できるでしょう。

このような言葉遊びがなぜ流行したかというと、高度成長期から安定成長期へと移行する世相の中で、人々が持つ遊び心や、既成概念に対する軽やかな反発が、この言葉のリズムに乗って表現されたからだと考えられます。SNSが普及した現代においても、ハッシュタグや独特な言い回しが流行するように、時代を超えて人々は言葉の**「楽しさ」や「響き」を求めているのです。

スポンサーリンク

濁音に秘められた情感:渡辺香津美さんの作品と「異界」の音

さらにハナモゲラ和歌は、その音の響きによって情景を生み出すことにも成功しています。ギタリストの渡辺香津美さんによる「大変に汚いさま」を詠んだとされる作品、「さなだむし じるつゆのおり こきかじり みがほろとばるあじめどあくさ」は、濁音を効果的に用いることで、臭いが立ちこめるような汚れた雰囲気を醸し出すことに成功しています。

古くから、「濁音」(だ・ざ・がなど)は、「マイナー調」、すなわち打ち消しやネガティブな意味合いを持つ音として扱われてきました。古語辞典を紐解くと、濁音には漢字の音読み、つまり外来語が多く、それは「異界からやって来る怖いもの、強大なもの」を表す音でもあったのかもしれません。たとえば、日本を代表する怪獣「ゴジラ」は、「ゴリラ」と「クジラ」という、海の底から来る強いもののイメージを組み合わせて造語されました。平和の象徴である怪獣「モスラ」には濁りがないのに対し、最凶の敵であるキングギドラには濁音が含まれており、この音の持つイメージの深さを感じさせるでしょう。

言葉の音、特に濁音の持つ力は、現代詩や音楽のリズムにも深く影響を与えていると言えるのではないでしょうか。音の持つ力強さや怖さを表現できるハナモゲラ語は、言葉の可能性を広げる試みとしても非常に価値のあるものだと私は考えています。

タモリさんの珠玉の「終えん」の歌と、言葉の「音」の追求

そして、ハナモゲラ語の極意とも言えるのが、タレントのタモリさんが伝説的なラジオ番組「タモリのオールナイトニッポン」の最終回で、「歌人」として詠んだ作品です。「きんたびれ すてもちみれば しにあわん つきのかたびらしきのとうふか」というこの歌は、番組の「終えん」を感じさせながらも、どこか悟りのような境地を漂わせています。意味の通じない言葉の羅列であっても、その音の持つリズムと、聴き手の脳内で補完される情景が、深い余韻を残すのです。

このハナモゲラ語の魅力を、より深く掘り下げていきたいと考えています。来る2019年8月24日(土曜日)には、大阪府堺市で開催されるイベントで、ハナモゲラ語の生みの親とも言える山下洋輔**さんと対談させていただく予定です。そこでは、言葉の「音」と、ジャズという楽器の「音」が、いかにしてお互いを響かせ合うのかについて、山下さんにじっくりと伺ってみたいと思案しているところです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました