2019年6月19日、中東情勢は緊迫の度を増しています。イランが2015年に締結した核合意からの「離脱」を示唆し、米国以外の当事国である欧州連合(EU)を強く揺さぶる動きを見せているためです。これは、トランプ米政権がタンカー攻撃事件への関与を主張し、イランへの包囲網を強めていることへの強い焦りの裏返しと言えるでしょう。一方、米国は約1000人の米兵を中東へ追加派遣すると発表し、ペルシャ湾周辺の緊張は一気に高まっています。
イラン原子力庁は6月17日、低濃縮ウランの増産を加速しており、核合意で定められた貯蔵限度量300キログラムを10日以内に超える可能性もあると公表しました。さらに、核合意によって3.67%に制限されているウランの濃縮度についても、「20%まで上げる必要がある」と発言しています。このウラン濃縮度の制限は、イランと米欧など6カ国がまとめた核合意の核心的な柱であり、核兵器開発につながりかねない物質であるウランの純度を高める工程を指すものです。
イランのロウハニ大統領は5月、米以外の核合意当事国が7月上旬までに具体的な対応策を示さなければ、核合意に基づく義務の履行を徐々に停止する意向を表明していました。今回の原子力庁の発表は、期限を前倒しして関係国に早急な行動を迫る狙いがあると見られています。米国が2018年5月に核合意から一方的に離脱した後も、イランは約束を守り続けてきましたが、ここにきて一転、「義務違反」を交渉カードとして使おうという戦略に転じたと考えられます。
低濃縮ウランの貯蔵量がわずかに上限を超えたからといって、すぐにイランが核武装の脅威となるとは限りませんが、この行動は国際社会との信頼関係を損なうことにつながりかねません。それでもイランが欧州に**「行動」を強く求める背景には、米国がタンカー攻撃事件にイラン革命防衛隊が関与したと断定し、包囲網の強化に動くことへの強い警戒感**があります。米国は6月17日にも、イランの犯行を裏付けるとする新たな画像を公開し、同盟国に支持を広げようと躍起になっているのです。
このイランの「危うい離脱カード」戦略に対し、SNS上では「イランの焦りが透けて見える」「結局は経済制裁が効いている証拠」「欧州がどこまでイランの肩を持てるのかが焦点」といった、情勢の緊迫度と経済制裁の効果に注目する反響が多く見られます。私の考えとしては、イランの行動は米国との対立が深まる中で**「瀬戸際外交」を仕掛けているに他ならず、外交的解決の道を探るための最終手段**に近いと言えるでしょう。
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🇪🇺機能不全に陥る欧州の決済枠組みとイランの外交戦略
核合意の維持を望むEUですが、具体的な対応策は限定的です。フランスのマクロン大統領は6月17日、「イランと対話の道を見いだすため、協力国とできるかぎりのことをしたい」と強調しつつも、具体的な行動には踏み込みませんでした。EUとイランは、米国のドル建て決済を避け、貿易を継続するための特別目的事業体(SPV:Special Purpose Vehicle)を立ち上げましたが、詳細は未だ明らかになっていません。SPVとは、特定の取引や資産を扱うために設立される法人を指します。
しかし、5月の米国の制裁強化によってイラン産原油の取引は完全に停止に追い込まれました。このSPVで原油以外の何を扱うのか、そして米国の報復措置を恐れる欧州の企業や銀行をどう動員するのか、その詳細は不透明なままです。つまり、イランはEUに頼ることで経済的苦境を脱しようとしていますが、「核合意違反」を交渉カードに使う戦術は、米国などの強硬派が訴える軍事攻撃の口実に使われかねないという危うさも孕んでいます。
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⚔️増派を発表した米国と回避したい「戦争」の本音
イランの動きに対し、米政権は6月17日、「脅迫には屈しない」と反発しました。そして、中東に駐留する米兵を防衛する目的で、約1000人の増派を発表しています。しかし、トランプ大統領は「戦争は望まない」と繰り返していることも事実です。軍事衝突が発生すれば、原油価格が高騰する可能性があり、これを避けたいという米政権の本音も透けて見えます。
この状況について、日本エネルギー経済研究所の研究理事である保坂修司氏は、イラン現体制の主流派は武力衝突を望んでおらず、自ら核合意を離脱する可能性は低いと見ています。低濃縮ウランの貯蔵量超過に言及したのは、むしろドイツや中国などの当事国に揺さぶりをかけ、合意維持を強く働きかけるための圧力であったと分析できるでしょう。たとえ期限を過ぎたとしても、交渉は継続すると考えるのが妥当です。
また、英王立国際問題研究所のサナム・バキル氏は、タンカー攻撃で状況はエスカレートしているものの、武力衝突には繋がらないと見ています。イランは、周辺国への影響力を強め、核問題をちらつかせることで、米国との協議に有利な立場で臨みたいと考えているのです。これは、「時間稼ぎ」をして持ち札を集めるための作戦の一環でしょう。一方、トランプ米政権には一貫した戦略が見えず、譲歩はしないものの、危機に陥ることも望んでいないという、不安定な状況が続いていると言えるでしょう。
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