👵💰「老後2000万円問題」で考える!人生100年時代の老後資金対策と70歳まで働く環境整備の重要性

2019年6月、金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが公表した報告書は、「高齢夫婦無職世帯では、公的年金に加えて老後資金としておよそ2,000万円の蓄えが必要になる」という試算を提示し、日本社会に大きな波紋を広げました。この「老後2,000万円問題」は、野党による国会での追及や、夏の参議院議員選挙への影響を懸念した与党からの抗議を受け、最終的には麻生太郎金融担当大臣が「正式な報告書として受け取らない」と表明し、事実上の撤回へと追い込まれることになりました。SNS上では「年金だけでは暮らせないのか」「政府は年金制度の失敗を国民に押し付けている」といった不安や批判の声が噴出し、国民の老後の生活設計に対する関心の高さを改めて示す結果となったのです。

この事態について、金融審議会委員も務める日本総合研究所理事長の翁百合氏は、議論のきっかけとして試算を出すこと自体は問題ないとしつつも、結果的に国民の不安を煽る形になったことは残念であると述べていらっしゃいます。そもそも高齢者の方々の所得や資産状況には大きな格差が存在しており、平均値だけで「老後資金の不足額」を語ることには難しさがあると指摘されているのです。特に、現役時代に非正規雇用で働いていた人が高齢者になった場合に生じる新たな経済問題への懸念も示されており、現在の日本の超高齢化社会が抱える複雑な課題を浮き彫りにしています。

長寿化が進む現代において、どのようにすれば豊かな老後を送れるのかは、極めて重要なテーマです。翁氏は、今回の騒動を機に、国民の間でこのテーマに関する議論がより深まることを期待している、と前向きな姿勢を示されています。私個人の意見としても、報告書の「撤回」という結末は、問題の本質的な議論を避けてしまったように感じられ、非常に残念に思われます。国民の不安を真摯に受け止め、議論の土台として活用していくべきだったのではないでしょうか。

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老後の経済的不安を解消する鍵は「70歳まで働ける環境」

老後の経済的な不安を和らげるため、まず政府が最優先で取り組むべきなのは、「高齢でも働きたいと望む人が、実際に働ける環境を整備すること」だと翁氏は強調されています。70歳まで就労が可能になれば、その分、所得が増加し、老後の生活資金を増やせるのは当然のことでしょう。現在の公的年金制度では、将来的に現役世代の所得に対する年金の水準を示す「所得代替率」が50パーセント程度になると試算されています。これは、年金だけでは現役時代と同じ生活水準を維持することは難しいということを示しており、国民も薄々、それを感じ取っているに違いありません。

翁氏は、政府に対して、こうした年金制度の現状と将来について、国民の不安を不必要に煽るのではなく、責任をもって丁寧に説明する姿勢を求めています。日本は、世界に先駆けて超高齢化が進む「課題先進国」です。公的年金制度を核とする社会保障改革をはじめとして、日本が直面する大きな課題を乗り越えるために、政府全体が知恵を出し合うべき局面にあると警鐘を鳴らしていらっしゃるのです。

若いうちからの「人生のキャッシュフロー」設計が不可欠

一方、個人が老後に備えるためには、どのような心構えや行動が必要になるのでしょうか。翁氏は、低金利が続く現在、「銀行にお金を預けておくだけでは、利息で資産が増えることは難しく、むしろ資産を取り崩していくことになる」と現状を解説されています。日々の生活で手一杯で、なかなか投資や貯蓄に意識が向かない人がいるのは理解できることでしょうし、特に住宅ローンや教育費の負担が大きい30代から40代では、負債が資産を上回る「負債超過」の状態になってもおかしくはありません。

しかし、「退職金をもらってから初めて資産運用を考え始める人が圧倒的に多い」現状では、すでに手遅れになってしまうと警鐘を鳴らされています。若いうちから「人生のキャッシュフロー」を具体的に考え、計画的に貯蓄や資産運用、iDeCo(個人型確定拠出年金)のような個人年金制度などをよく理解し、積極的に活用していくことが重要だと提言されているのです。老後資金を築くためには、金融資産の形成だけでなく、健康に留意し、できる限り長く働くことができるよう努めることも非常に大切であると、自己管理の重要性も訴えかけていらっしゃいます。

また、金融機関や金融商品、サービスについても、長生きするリスク、すなわち「長寿リスク」を踏まえた変革が求められています。個人の多様なニーズに合った商品を揃えることが必須であり、金融機関は、高齢者の健康データなども活用しながら、その人に最適な提案を行うべきであると述べていらっしゃいます。さらに、顧客に対し、中立的な立場で公正な助言ができる金融アドバイザーの育成も、高齢社会を支えるうえで欠かせない要素になるでしょう。

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