秋田の林業を救う「緑のダイヤ」!バイオマス発電が切り拓く地域共生の未来と国産燃料の課題

激しさを増す気候変動への対策が急務となる中、天候に左右されず安定して電気を供給できる「再生可能エネルギー」として、バイオマス発電が熱い注目を浴びています。2019年10月14日、秋田県秋田市にある「秋田バイオマス発電所」を訪ねると、そこには地域経済と環境保護が手を取り合う、理想的な循環の姿がありました。

この発電所を運営するのは、再エネ開発大手のレノバが出資するユナイテッドリニューアブルエナジー(URE)です。2016年から運転を開始したこの施設は、東北地方の約3万8千世帯分もの電力を賄っています。特筆すべきは、燃料の7割から8割を秋田県産の木質チップで占めているという、全国的にも極めて珍しい「国産主導型」のモデルである点です。

バイオマス発電とは、木材や動植物などの生物資源(バイオマス)を燃焼させたりガス化したりしてタービンを回す発電方式を指します。石炭などの化石燃料と異なり、植物は成長過程で二酸化炭素を吸収するため、燃やしても大気中のCO2を増やさない「カーボンニュートラル」なエネルギーとして期待されているのです。

スポンサーリンク

「ゴミ」と呼ばれた丸太が宝の山に変わる

発電所の敷地内には、高さ50メートルに及ぶ巨大な設備がそびえ立ち、1日に約50台もの10トントラックが慌ただしく往来しています。そこへ運び込まれるのは、細かく砕かれた木質チップです。かつて家具や建材には不向きとされ、安値で取引されていた曲がりや割れのある「下級品」の丸太が、今や発電という新たな使命を得て価値を高めています。

秋田市内でチップ加工を行う秋田グリーンサービスでは、この発電所の誕生によって売上高が2割も増加したといいます。代表の佐藤総栄氏は、新たに2名の雇用を生み出せたことに確かな手応えを感じていました。従来は捨てられるか二束三文だった未利用材が、地域を潤す貴重な資源へと生まれ変わった瞬間です。

SNS上でも「地元産の木材を使うことで山が整備され、雇用も生まれるのは素晴らしいサイクルだ」といったポジティブな声が目立ちます。しかし、視点を全国へ広げてみると、この秋田の成功例がいかに「稀有な存在」であるかが浮き彫りになってきます。

未稼働案件が8割?バイオマス発電が直面する壁

実は、固定価格買い取り制度(FIT)の認定を受けたバイオマス発電計画のうち、実際に稼働しているのはわずか2割程度に留まっています。FITとは、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定める一定価格で電力会社が買い取ることを義務付けた制度ですが、認定を受けたものの燃料確保や経済性の見通しが立たず、足踏みしている事業者が後を絶ちません。

特に深刻なのが燃料不足です。国内の需要急増に対し、国産燃料の供給はこの5年で2割しか増えていません。日本の森林面積は国土の3分の2を占めますが、急峻な地形ゆえに伐採や運搬のコストがかさみ、さらには林業従事者の高齢化という構造的な問題が立ちはだかっています。

その結果、多くの発電所が海外産の木質ペレットやヤシ殻(PKS)に頼らざるを得ない状況です。しかし、真の意味で持続可能な社会を目指すならば、輸送時に大量のエネルギーを消費する輸入燃料よりも、秋田のように地域の資源を地産地消する仕組みこそが本命であるべきだと私は考えます。

20年後の未来を見据えた収益モデルの構築を

もう一つの大きな課題は、発電コストの高さです。バイオマス発電のコストの7割は燃料費が占めており、現状では太陽光や風力よりも割高です。20年間のFIT期間が終了し、買い取り価格が市場価格並みに下落した際、現在の高コスト体質のままでは事業の継続が困難になる恐れがあります。

バイオマスは、出力が不安定な太陽光などとは異なり、24時間安定して発電できる「ベースロード電源」としての重責を担っています。だからこそ、国による林業支援や、発電事業者と地域の長期的な契約維持など、一過性のブームで終わらせないための「本気の改革」が求められているのです。

秋田の地で実を結んだ地域共生モデルは、日本のエネルギー自給率向上と地方創生を同時に成し遂げるヒントに満ちています。この芽を全国で育てるためには、私たち消費者が「電気の由来」に関心を持ち、地域に根ざしたエネルギーを応援していく姿勢が不可欠といえるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました