【原油市場】OPECプラスの減産延長でも相場は上値が重い!「世界景気減速」と「需給緩和」の懸念が支配する石油市場の行方

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの主要産油国で構成されるOPECプラスによる協調減産が、2019年6月末に期限を迎えますが、7月以降も減産が続く公算が大きい状況です。当初、6月で打ち切られる可能性も取り沙汰されていましたが、直近の原油価格の下落を受け、市場では減産延長が「メインシナリオ」として織り込まれています。サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相からも「減産延長で合意できると期待している」との発言があり、継続の方向性は確かでしょう。しかし、OPECプラスが減産を続けても、市場参加者の心理はなぜか弱気に傾いており、「減産を続けても相場は上がらないだろう」という懐疑的な見方が優勢となっているのが現状です。

この市場の弱気ムードの背景にあるのは、大きく分けて二つの大きな要因が挙げられます。一つ目は、世界的な景気減速に対する強い懸念です。景気の減速は、必然的に石油の需要減へと直結します。OPECやIEA(国際エネルギー機関)といった主要な機関が、相次いで2019年の石油需要見通しを下方修正している事実は、この懸念の裏付けと言えるでしょう。OPECは直近で今年の需要の伸びを日量7万バレル引き下げましたが、さらなる下方修正の可能性も示唆しており、先行きの不透明感が漂っています。

二つ目の要因は、需給緩和の懸念、つまり市場に原油が余るのではないかという警戒感の高まりです。特に米国の原油在庫が2年ぶりの高水準にまで積み上がっている状況は、市場にとって大きな重石となっています。専門家も「タンカー攻撃という地政学的リスクが発生しても、相場が大きく動かないほど需給緩和の懸念は強い」と指摘しています。実際に、2019年4月下旬に1バレル66ドル台まで上昇した米原油先物は、5月以降は50ドル台前半へと急落しました。6月13日にホルムズ海峡近くでタンカー攻撃が発生した際にも一時的に価格は上昇したものの、すぐに上値の重さが露呈し、価格は再び下落傾向に戻っています。

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OPECプラスの足並みと減産の行方

当初、OPECプラスは6月末に会合を開く予定でしたが、日程調整の難航から7月にずれ込む可能性が高まっています。協調減産の継続について、かつてはロシアが最も慎重な姿勢を見せていました。ロシアには民間石油会社が多く、減産によって米国が採掘するシェールオイルに、さらに市場シェアを奪われることへの警戒感が強かったためです。シェールオイルとは、米国で急速に開発が進んだ、頁岩(けつがん)層から採掘される原油のことで、OPECの市場支配力を脅かす存在として知られています。

しかし、足元の原油価格の下落を受け、そのロシア国内でも減産に前向きな意見が増加しています。楽天証券の吉田哲コモディティアナリストは、「ここまで相場が下がれば、減産に国内をまとめやすい」との見方を述べています。実際、ロシアのノワク・エネルギー相は、過剰生産による相場急落リスクに備えるとして減産継続を支持する可能性を示唆し、シルアノフ財務相は「継続しなければ相場は30ドルまで下がるかもしれない」と、強い危機感を表明しました。

一方で、減産の強化を求める声も出ています。イラクのガドバン石油相は、積み上がった在庫を根拠に「より厳しい対策が必要だ」と発言し、アルジェリアは現行の日量120万バレルから180万バレルへの減産幅強化案を示したと報じられています。しかし、この大幅な減産強化案は、ロシアにとっては受け入れがたい水準である可能性が高く、産油国間の協調体制が需要減の懸念によって揺らぐ可能性も否定できません。私見としては、OPECプラスが結束を維持し、供給量をコントロールしようとする努力は、原油市場の安定に不可欠なものと考えられます。

市場の反応と今後の展望

SNS上では、原油価格の動向は依然として大きな関心を集めています。特に個人投資家からは、「減産しても景気が悪くなったら意味がない」「原油が余っているなら下がって当然」といった冷静なコメントが多く見受けられ、市場の弱気な心理が一般にも浸透していることがうかがえます。また、「シェールオイルの増産ペースが気になる」といった、米国の供給力に対する警戒の声も目立っています。

市場の専門家の見解も同様に慎重です。みずほ総合研究所の井上淳主任エコノミストは、「需要の弱さを考慮すると、減産継続は相場の下落を抑える程度の効果にとどまるだろう」と指摘しています。このように、多くの市場関係者は減産継続を織り込み済みであり、サプライズ感が少ないため、減産が決定されても価格の本格的な上昇にはつながりにくいと予測されているのでしょう。OPECプラスの会合は7月にずれ込む可能性が高いですが、彼らがどのような判断を下し、市場にどのような影響を与えるのか、引き続き注目していく必要があります。

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