ブレグジットで沈むロンドン? 2019年5月28日、逆風下で輝く「フィンテック」の底力と「砂場(サンドボックス)」という英断

2019年5月28日、欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)問題に揺れる英国・ロンドン。金融街ではリストラが大きな関心事となっています。大手金融機関がパリやフランクフルトへ業務を移転し、世界の金融中心地が下り坂に進むとの悲観シナリオが現実味を帯びていました。SNSでも「ロンドンの地盤沈下は避けられない」といった声が上がっていたほどです。

しかし、そのロンドンには全く逆の側面、驚くべき底力が存在します。「ネオバンク」や「チャレンジャーバンク」と呼ばれる、金融ベンチャー(フィンテック企業)の力強い台頭です。ロンドン東部の作業スペースには100を超えるスタートアップがひしめき、その厚みはシリコンバレーにも匹敵すると言われるほど活気に満ちています。

この活気は偶然の産物ではありません。2010年の「テック・シティー」構想に始まり、ビザや税制優遇、2014年からのフィンテック分野への集中支援など、10年越しとも言える英国政府の揺るぎない国家戦略が結実したものなのです。イノベーションを育てるには時間がかかることを証明しています。

英国の金融行政で特に注目すべきは、その「思い切りの良さ」です。鍵は「サンドボックス(砂場)」と呼ばれる規制緩和の枠組みにあります。これは、既存のルールでは銀行の資格を満たさない新興企業でも、当局の監督下で「銀行」として金融サービスを試行できる、まさに「砂場」のような特区制度を指します。この大胆な手法に「日本も見習うべきだ」とSNSでも注目が集まっています。

英国当局は「新しい選択肢が出てこないことによる損失」を懸念し、積極的に競争を促します。スタートアップが法令順守(コンプライアンス)体制で劣っていても門前払いせず、手間をかけて指導するのです。安全運転に傾きがちな行政とは一線を画す、活気づくりを優先する覚悟が感じられます。

この英国の姿は、日本にとって大きなモデルとなるのではないでしょうか。実は日本と英国は、異業種からの銀行参入に門戸を開いてきたという共通点があります。これは、参入に慎重な米国とは異なる点です。新しい発想を見極めてきた行政の経験は、両国で重なる部分が多いのです。

私たち日本にも、世界に誇るべき先例があります。それは「仮想通貨」への対応です。数年前、世界が警戒していたこの新しい技術に、日本は交換業者の登録制度を設けることで世界に先駆けて正面から向き合いました。2018年に巨額の流出事件が発生しましたが、「あの事件からよく立て直した」との評価もあり、日本はその失敗を乗り越えルールの再整備を進めています。

新しい挑戦に失敗はつきものです。しかし、その経験こそが次の革新を育てる土台となります。ブレグジットという逆風下でも、戦略的にイノベーションを育て続ける英国。日本も規制緩和の舵を切り、国内外のスタートアップを惹きつける金融ハブを目指すべき時が来ているのではないでしょうか。

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