私たちの生活に欠かせない「水道」というライフラインが、未曾有の災害を前にいかに脆いものであるかを、2018年07月の西日本豪雨は突きつけました。厚生労働省が実施した緊急点検の結果によれば、近畿や中国、四国地方の15府県において、浸水が予想される区域に位置する水道施設のうち、実になんと約83%が具体的な対策を講じていなかったという驚きの事実が判明しています。SNS上でも「これほどの規模で対策が遅れているとは思わなかった」といった不安の声や、早期改善を求める意見が数多く寄せられているのが現状です。
最大で約26万3000戸という膨大な数の世帯が断水に見舞われ、その解消までに約1カ月もの歳月を要したあの夏から、被災した各自治体は懸命な復旧と再発防止に奔走しています。特に甚大な被害を受けた広島県では、三原市の本郷取水場が河川の氾濫によって水没するという事態に陥りました。押し寄せた濁流は2メートルの外周壁を軽々と越え、心臓部であるポンプ室の電気系統を破壊したのです。この教訓を胸に、県は現在、外周壁を3メートルへとかさ上げし、水の侵入を阻む強固な扉やシャッターの設置を進めています。
さらに、広島県では取水場から浄水場へと水を運ぶための新しいトンネル建設も進行しており、2022年03月31日までの完成を目指して急ピッチで作業が続けられています。このようにインフラを二重化・強化する姿勢は、災害時における「粘り強い」システム構築において非常に重要だと言えるでしょう。専門用語である「取水場」とは、川や湖から飲み水の元となる水を取り入れる施設のことで、ここが機能不全に陥ると、どれだけ優れた浄水場があっても家庭に水は届きません。まさに水道の「玄関口」を守ることが最優先事項なのです。
倉敷市真備町の再生と、一段高い場所から守る安心の仕組み
甚大な浸水被害に見舞われた岡山県倉敷市の真備町地区でも、あの日、約8900戸の断水という厳しい現実に直面しました。地区の水を支える真備浄水場では、建物の内部にまで約2.6メートルの高さまで水が達し、操作機器や送水ポンプが完全に沈黙してしまったのです。現在は壊れたポンプの復旧工事を進めると同時に、2022年03月31日までに重要な電気設備などを1階から2階へと移設する、抜本的な「垂直避難」型の対策を計画しています。
私は、こうした「設備を上に逃がす」という発想こそが、これからの豪雨対策のスタンダードになるべきだと確信しています。地上の水位が上がっても機能し続ける仕組みは、物理的な壁を作る対策よりも確実性が高い場合が多いからです。市の担当者も、同様の悲劇を二度と繰り返さないという強い決意のもと、復旧と対策を同時に進める困難な作業に取り組んでいます。ネット上では「現場の努力に感謝したい」という温かい激励と共に、行政によるさらなるインフラ投資を期待する声が根強く残っています。
水道は「蛇口をひねれば出る」のが当たり前だと思われがちですが、その裏側にはこうした絶え間ない対策と、災害への備えが隠されています。西日本豪雨から得た教訓は、単なる復旧で終わらせてはなりません。今回の広島や岡山の取り組みがモデルケースとなり、全国の浸水想定区域にある水道施設に対策の輪が広がることを切に願います。2019年10月29日現在、私たちはまさに、次なる災害への「防御力」を試されている過渡期にあると言っても過言ではないでしょう。
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